「葉月ー!」
うげっ。
またアイツ来たよ。
『……なにお兄ちゃん』
「一緒に帰るぜよ!」
『部活は?』
「……ピヨッ」
『行ってよし。』
…本当にこいつ私のお兄ちゃん?
こんなのが私のお兄ちゃんなんてヤなんだけど。
「仁王くん」
「げっ柳生…」
あ。柳生先輩だ。
いつも落ち着いててかっこいいんだよね。
はぁ…柳生先輩みたいな人がお兄ちゃんだったらよかったのに…
「やはりまた葉月さんのところに来てましたか…。早く部活に行きますよ。」
「いやじゃっ!俺は葉月と帰るんじゃっ!」
「仁王くん……」
本当に恥ずかしい。
なんでお兄ちゃんは部活行かないかなぁ?
こうなったら、しょうがない…
『お兄ちゃん!早く行かないと私、もうお兄ちゃんと一緒に帰らないし、ご飯も食べてあげない。てゆうか、柳生先輩の妹になるからね!』
「!?なんでじゃっ!?葉月は俺と一緒にかえりたくないんか?!」
『うん!……あ、間違えた。帰りたいけど、お兄ちゃんには一生懸命テニス練習して欲しいんだよ。』
いやー思わず肯定しちゃったよ。
「……葉月は俺んことすいちょるか?」
『あーうん。好き好き大好きー(棒読み)』
私がそう答えるとお兄ちゃんは、嬉しそうな顔をして私におもいっきり抱きついてきた。
てゆうか、普通あんな質問しないよね。
「俺も葉月が大好きじゃっ!」
『うん。わかったから早く私から離れて部活行って。』
「おん!葉月のために練習がんばっちゃる!」
お兄ちゃんは私から離れるとすぐにテニスコートの方へ向かっていった。
………単純すぎだよね。
私が遠い目をしながら、お兄ちゃんの将来について考えてると隣にいた柳生先輩が私に話しかけてきた。
「葉月さん。毎回毎回仁王くんがごめんなさい…」
『大丈夫ですよ。こちらこそ毎回毎回お兄ちゃんが迷惑をかけてごめんなさい。』
「いえ…こちらこそ大丈夫です。それに、葉月さんとお話出来ますから。…では、私はこれで。」
柳生先輩は私に向かっておじぎをすると、お兄ちゃんが走って行った方へ行ってしまった。
やっぱり柳生先輩ってかっこいいなぁ。
赤くなった顔を手でおさえながら、そんなことを思った。
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