背の高い一人の男性が優雅な動きでコツコツと廊下を歩む。
目当ての部室を発見すると、ノックもせずにガラリと扉を開けた。


『跡部ぇぇぇえ!!!俺の宗きゅん((はぁと))を返しやがれぇぇぇえ!!!!』
「……てめェは、」


男はバンッと勢いよく扉を開けると、中にいた跡部景吾に掴みかかった。


『あぁ?!俺の宗きゅんはどこだよ!さっさとはけやこの野郎!!!』
「うっせぇ!今は部活中だ、とっとと失せな。」
『Fall silent!この万年中二病が!さっさと俺の宗きゅんを出しやがれ!!』

ブチンッ

「アーン?!てめぇ調子に乗ってんじゃねぇぞ?!とにかく今は部活中だ!帰りやがれ!」
『はんっ!俺は宗きゅんの為にここの教師になったんだよ。俺に逆らうんじゃねぇ。ここでは俺がルールだ!』


手を大きく広げて声高々に言う男はとてもいい笑顔だった。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


「…跡部さん、兄さんが申し訳ありません。」
「ったく。」
『あぁ!可愛い可愛いMy brother!久しぶりだな!』


氷帝テニス部の部室で樺地宗弘とそれにに抱きつく男、ソファーに座り偉そうにしてる男、そしてこの状況が今だに理解できない数人の男がいた。


『ったくよぉ、いきなり宗弘がJapanに行くなんて言い始めるからよ。大変だったんだぜ?教師の免許手に入れるの。』
「兄さん.…」
「だからって部活中にくんじゃねぇよ。迷惑だろ。」
『てめえには言ってねぇんだよ。このクソチビが。』
「おい、彰人…後で覚えてろよ……」
『俺に勝てたことねぇやつがよく言うなァ?』


ニヤニヤと悪どい顔をする男、彰人はとても楽しそうに跡部を見ていた。


「ちょっ、待ちぃ!この人誰やねん!」


バチバチと睨み合う跡部と彰人にその場にいたレギュラーの1人忍足侑士がとうとう突っ込んだ。


『あ?俺?俺は樺地彰人。25歳。ちなみに身長190cmな。嫌いなものはえっらそーにしてるクソガキ。俺に勝てねぇくせに口だけは一丁前でよォ。なァ、景吾。』


その瞬間、その場にいた全員が思った。

((樺地と似てなさすぎだろ……!))



「うぜぇ。……で、なんでここにいんだ。」
『あ?だから、宗弘の為に教員免許取って教師としてここに来たんだろーが。あ、ちなみにEnglishの教師な!二年のEnglish持つことになるからよ!二年のやつよろしくな!』


ギロリと跡部が睨みつけてもなんでもないように返すと、次は近くにいたやつに二カッと笑いながら握手を求めてきた。


『あ、忘れてたけど、俺の宗きゅんに手ぇ出したら殺すかんな?』



笑っているけど瞳の笑っていない樺地彰人は確かにブラコンだった。


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