『……お兄ちゃん?そこでなにしてるの、?』
「!な、ななんもしてへんでぇ!」
『いや、してるよね?あきらか私の下着見てたよね?』
「……見てへん。」
『………見たよね?』
「見てへんって。」
ブチッ
『嘘吐いてんじゃねぇぇぇえ!!!!!!このクソ兄貴!!!!!!!』
「すいませんでしたーーっ!!!!!!!」
『ってことが昨日あったんだよね。』
「お前も大変だな…」
同じクラスの日吉に昨日あったことを愚痴ってるとすんごい哀れんだ目で見られた。
なんか複雑。
「それにしても、忍足さんがそんなに変態だったとは…」
『いや、これだけじゃ終わらないから。』
「…なに?」
あたしの言葉にこれ以上ひどいものがあるのかとでもいうような目で見てくる日吉に、遠い目をしながらフッと笑う。
あいつの変態話しはまだまだある。
『まずさー、昨日もさ部活あったじゃん?で、汗かいたから家でシャワーを浴びるわけだよ。そしたら、クソ兄貴はあたしがシャワー浴びてる時にわっざわざ来てさー。マジで殺してやろうかと思ったよね。』
「……お前も苦労してるんだな。」
『本当だよ!でもさ、あいつ外面だけはいいじゃん?だから、いろんな女の子からいろんな視線があって大変なんだよね!あたしは女の子好きなのに!』
ガンッと机を叩きながら、日吉に力説する。
日吉のドン引きしてる目とか知らないから。
あたしは汗苦しい男なんかより可愛くて可憐な女の子が好きなんだっつーの!
「葉月ー!今日も一緒に帰『あたしのクラスにいちいち来んじゃなぇよ!!!!クソ兄貴!!!!!』そんなつれんこと言わんでやぁ。」
あたしが日吉に女の子の可愛さに力説してると、クラスの扉が開いてクソ兄貴がこっちに来た。
ちなみに、あいつの頭がどんだけ妄想激しいか知らないけど、あたしはこれまで一回もあいつと一緒に帰ったことはない。
ので、今日【も】って言葉はおかしい。
日本語勉強してこいクソ兄貴。
『日吉、一緒に帰ろ。』
「なんやと??!!!!お兄ちゃんは許さんよ!!!!!いくら日吉でも許さへん!!!!!」
『なにがだよ。』
ジロリと兄貴を睨みつけると、ハァハァしながらえぇよ…とか呟いていたので、あいつの大事なところを再起不能にしてやろうかと思って兄貴に近づくと、二の腕を日吉に掴まれた。
『日吉…?』
「すみません、忍足さん。俺と葉月は付き合ってるんで、二人で帰りたいと思います。葉月行くぞ。」
『え、あ、うん、』
日吉に腕を引かれながら、あたしは教室をでた。
教室の中で兄貴が滝のように涙を流していたのは知らない。あたしたちが教室を出たあとに、「俺の葉月がぁぁぁあ!!!!!!!」とか叫んでた兄貴なんて知らない。つか、知りたくない。
『…日吉、ありがと。』
「別に…お前の為じゃない。」
『ん、でもありがと。』
「……どういたしまして。」
耳まで赤くする日吉にときめいたのは秘密。
日吉が言ったことが現実になるまでもう少し。
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