崩れたのはわたしの世界
「なに泣いてんだよ。笑えって。」
「笑ってんじゃねぇ!てめぇのせいだろうが!」
「はぁ?そんなこと悩んでたのかよ。…なら、俺が約束してやる。」
「ふざけんな!謝れ!」
「俺が、お前の名前をよんでやるよ。」
「っ、この…、」
「ゆづる」
「人殺しが!」
なんで、こんなことになったの?
聞きたくない聞きたくない。
耳を塞いで蹲る。
やめてやめてやめて。
わたしの大切な人の声で、そんなこと言わないで。わたしの世界がわたしを拒絶しないで。
『大ちゃんは、わたしをゆづるって呼んでくれるの…?』
「しょうがねぇだろ。いつまでも泣かれてるとうぜぇし。」
『ほんとう…?』
「ああ。約束してやるよ!」
『うん!大ちゃんだあいすき!』
「…んなこというな!」
「顔も見たくねぇ。」
その時、この世界で唯一のわたしの居場所は音を立てて崩れた。
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