殺せ殺せ、跡形もなく殺してしまえ
誰もいない部屋で、わたしは膝から崩れ落ちる。
嫌われた。わたしの唯一の居場所から。
捨てられた。わたしの世界から。
そしたらわたしは生きている意味がなくて。
ポケットから、剃刀を持ち出す。
斬らないと切らないとキラナイト。
この躰から、わたしの存在を消さないと。
わたしじゃない血液なんて消さないと。
返さなくちゃ。死ななくちゃ。
わたしを繋ぎ止めてたのは大ちゃんで、わたしを殺すも生かすも大ちゃん次第。
だから、死ななくちゃ。
『あれ?あれ?なんでぇ?』
ガリガリガリガリ。
手首を剃刀で斬るけど、あの死ぬ感覚がない。
頭の中が冷え切って、視界が真っ暗になる感覚が。
ダメだよ、死ななくちゃ。
だって、大ちゃんに捨てられたんだから。
ガリガリガリガリガリガリガリガリ
『あ、水につけないとダメなのかなぁ?』
ぼたぼたとわたしの手首から血が落ちる。
それすらも気にせずに、シャワー室に向かう。
だって、死ななくちゃいけないんだよ。
世界の命令だもん。
キュッとシャワーの蛇口を捻ると温水が流れてくる。制服のまま、手首に温水を当てた。
透明な水が、真っ赤な血と混ざり合う。
わたしの躰の中にあるわたしじゃない人の血液。
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね去ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね去ね死ね死ね死ね死ね去ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね去ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね去ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。
百万回死ね。一億回死ね。一生死ね。
人殺し。最低最悪生きてる価値のないゆづる。
自分の中に湧き上がる憎悪の感情。
大ちゃんといる時には抑えられてた感情が身のうちから湧き上がる。
自分、死ね。
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