何万回と彼女に謝り続ける




少女はごく普通の少女でした。
ある日突然、殺されたこと以外は。

犯人は「死刑になりたかった」
そう言って、たくさんの人を殺しました。
少女は不運にも、その“たくさんの人”の中に入ってしまったのです。

そして少女は再びこの世に生まれました。

そこで少女は狂うのです。

《桃井さつき》
その名前は本来、少女じゃない子の居場所でした。
少女は自分のしたことに怯え、恐怖し、絶望しました。

『誰もわたしの名前を呼んでくれない』『この居場所はわたしじゃなくて、さつきちゃんの居場所』『人殺し』『わたしの居場所なんてない』『死んじゃえ』『最低』

『いやぁぁぁぁぁぁぁああああ』



そして抱くのは憎悪の感情。
他人の居場所を奪った自分自身に対する殺意。


「俺がお前の名前を呼んでやるよ!」
「ゆづる!」


ですが、それは一人の少年と出逢い、抑えられていたのです。

少女は少年を敬い、崇めました。
少年だけが唯一の居場所だと盲信し、信じ込みました。

しかし少女は壊れます。
世界に捨てられ、少女は自分自身への殺意を思い出しました。

そして自分を殺そうとした。
それを少女に恋い焦がれてた少年が助けた。

もう一度、少女は居場所を取り戻した。


何度も何度も謝りました。

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

何百回、何千回、何億回

ただただ謝り続けて、貰えない赦しを乞う。
無意味な行為を繰り返してきた。

でも、

「もういいですよ。」
『テツくん…?』


テツくんが気付いてくれた。


「僕はゆづるのことも、桃井さつきさんのことも知ってます。受け入れます。」


わたしと彼女の存在両方の世界に、居場所になってくれた。


「一生、貴方の隣にいますよ。」


テツくんが好きだよ。


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