わたしには必要ないものだから。



赤司くんに退部届けを出したら、部員に挨拶はしてから退部しろ、って言われた。

赤司くんはなんで複雑な顔してたんだろう?不思議だなぁ。


『とゆーわけで、わたしは部活辞めました。ばいばい。』


赤司くんに言われた通り、にっこり笑ってそう言って挨拶したら、胸倉を掴まれた。


「ふざけんな!なに勝手にやめてんだよ!!」
『?なんで、青峰くんに怒られなくちゃいけないの?』
「…は、……?」
『わたし、青峰くんに怒られる理由わかんない。』


青峰くんの手が緩んだすきに、テツくんのところに向かう。

それで、テツくんにギュッと抱きついた。


『あのね、テツくん!わたし、ちゃんと図書館でテツくんが部活終わるの待ってるからね!』
「一人で帰っちゃいけませんよ。」
『うん!』


テツくんが頭を撫でてくれるのが嬉しくて目を細める。

他の人なんてしらない。
だって、わたしにはテツくんがいればいいから。


「えっと、あの、桃井っち?」
『なに?』


意味がわからない、とでも言いたそうな黄瀬くんがわたしに話しかけてきた。
それに、少しだけ無愛想に言葉を返す。


「青峰っちは、どうしたんスか?」
『なんで青峰くんが出てくるの?わたしにはテツくんだけしかいないんだよ!』


そう言うと、みんながギョッとした瞳でわたしをみてきた。
意味わかんないやあ。


「そうですね。…ゆづる、少しこの人たちと話さなくちゃいけないことがあるので、図書室に行ってもらってもいいですか?」
『うん!』


唯一、わたしの言葉を肯定してくれたテツくんが頭を撫でてくれた。
テツくんのお願いを断るはずもないわたしは、笑顔でテツくんに頷いた。


テツくん、だあいすき!


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