少女ーー相川充(あいかわみつる)は明るく活発な少女であった。

クラスの中心的人物で元気な女の子。

相川充には幼馴染と親友がいた。
家族と同じように思ってた大切な幼馴染と、その幼馴染の繋がりで知り合った大切な親友。
彼女は二人を大切に思っていたし、信頼もしていた。
たくさんの友達よりなにより、その二人が大切だった。

たとえ、二人の趣味が理解できなくても、入っていけなくても、彼女は二人が大切だった。


そう。大切だったのだ。


「ほんっっっと!ごめん!」
「上総、謝らなくてもいいじゃない。」
「いや、でもさぁ。」


なんで、こんなに私から血が出てるの。なんで夏香も上総も笑ってるの。なんでそんなに楽しそうなの。なんでこんなに身体に痛みがないの。なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで、


「あーやっと殺せたわ。」
「な!あの世界に行けるし、嫌いなやつ殺せたし、一石二鳥だったよな!」


その言葉を最後に、私の意識は絶望を感じながら堕ちていった。





次に目が醒めたとき、私は消えた。
強い憎悪と殺意がワタシを構成する全てだつた。
そんなワタシの前に現れたのは、神々しい雰囲気を放つ女の人。

ああ、これが神か。

そんなことを思った。

その神に見せられた一人の女の子の一生。
神は歪んでた。人間の、しかも女の子に、あの人は、

ワタシは女の子に勝手に仲間意識を感じた。
友に裏切られた、可哀想な女の子。
ワタシと、同じ。

信じる心を《奪われた》彼女。

きっと、すべてを知るのはワタシと神だけ。

ワタシの復讐は完成した。
夏香も上総も絶望させてやった。

次はあの子の番。
あの子がどうするか、ワタシはそれが気になる。

神に魅入られ、男に魅入られ、たくさんの想いをその一身に受ける彼女。

どうか、どうか彼女に幸せがあることを。





勝手に感じた仲間意識



 
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