跡部Side


「ね、跡部クン。心愛チャン、さっさと行かないと死んじゃうよ。」
「てめぇは…」


リビングで、俺たちがあの女について話し合っていると、四天の男の格好をしたマネージャーが口に弧を描いて、俺たちに言った。





心愛が倒れた後、休憩になるたびに部員が心愛の元へ行っているのを見ながら考える。

心愛は俺たちが好きだ。
それは自惚れなんかじゃなくて、双子だから分かること。些細な変化だって、俺は見逃さねェ。

心愛が何故、ワザワザ俺たちを突き放すようなことをするのか全くわからなかった。
心愛が憎んでるあの女を殺せば心愛は戻ってくるのか、そう考えていた時だった。


「け、景吾ぉ…、」
「チッ、」


あの女と青学のマネージャーが来たのは。

両方とも、俺には必要ない。

無視して、違う場所へ行こうとすると、あの女が俺の腕に触れる。


「俺様に、触んじゃねェよ!」
「まぁまぁ、景ちゃん落ち着き。」
「忍足…テメェ何回そのあだ名で呼ぶなっつたら、わかるんだ?あーん?」
「おー、こわ。」


肩を竦めて、巫山戯た調子の忍足に苛立ちが募る。


「で、何の用や?」
「ひっく、うっく…」
「………さっさと言え。俺様もヒマじゃねぇんだ。」


うぜぇうぜぇうぜぇ。
俺の前に出てくんじゃねぇよ。


「心愛ちゃんに、殴られたのぉ…」



こんな女、この世から消えちまえばいいんだ。







芽生える殺意



 
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