「、ぁ…ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい。邪魔しちゃってごめんなさい。」

『え?』


あの子は私と千歳くんのところまで来ると、私を怯えたように見て謝る。

それを見て一瞬意味が分からなかったけど、途中から「あぁ、彼女は今から私を嵌める準備してるんだ」って思った。

そう思うとくだらなすぎて笑えてくる。


『別に、いいですよ?あ…千歳くん。お話はまたあとで…』

「……分かった」


千歳くんにそう言ってニコリと笑いかけると千歳くんは去って行った。
その後ろ姿を見てから、あの子を見る。
すると、あの子はすごい形相で私を睨みつけていた。

あぁ…、やっぱり気持ちいい。
あの子が悲しそうな顔をするたび、私に憎悪を向けるたび、絶望を味わわせるのは私なんだって思える。


「あんた…一体なんなのよ!」

『えっと…』

「ウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザいウザい!!!!!!せっかくお姫様がこの世界に戻ってきたっていうのに!!あんたがいるせいでめちゃくちゃじゃない!あーー!もう!!あんた…あとで覚えてなさいよ……!」


そう言ってあの子は去っていく。
あの子は結局なにがしたかったんだろう。

結局、あの子にとっていつでも私は邪魔者なの。なら、私も心おきなく復讐できる。


優しさも、愛も、慈しむ心もいらない。
あの子に復讐するためなら、私は道徳心だって捨てる。
私はすべてをなくしてあの子に復讐してやる。私の家族、友達、愛情、友情、それから信じる心。すべてを奪ったあの子に。

それが今の私にできる私の大切だった人たちにできること。

だって、私はすべてを失ったんだもん。
望んでこの世界に来たわけじゃない。望んでこの世界の人に愛をもらってるわけでもない。

ただ、私は大好きな人たちと一緒に普通に、幸せに暮らしたかっただけだった。
それを壊された。

ねぇ、神様。私は復讐するためならなんでもします。
だから、だからどうかこの復讐が終わったらもとの世界に帰して。

そんな、何度目かになるかわからない願いを今日も私は祈り続ける。


復讐の先にあるものはわからない。
でも、私はただ走りつづけなくちゃいけないの。

それが私の生きる意味。





Grant my wish.



 
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