二人がここから離れたことを確認すると何故だか、私の目からは涙が出ていた。


『な、にこれ?』


拭っても、拭っても涙は止まらない。
早く練習に戻らなくちゃいけないなのに私の目からは涙が零れ続ける。


『なんで?泣きたくなんてないのに。』


苦しい苦しい苦しい苦しい、
とうとう私はおかしくなっちゃったのかな?

ぽろぽろ流したくもない涙がこぼれる。


「心愛…、?」
『っ、け、いごく、』


ここは人が来やすいところなのかな?
私が泣いていると景吾くんが来た。


「誰に泣かされた。」

『ちが、勝手に、私が泣いてる、だけです、』

「言え。」


そう言いながら私を抱きしめる景吾くんがわからない。
私を捨てたのになんで私に優しくするの?
また、私を裏切って捨てるの?


『っ、やめて!なんで、なんで私を捨てて裏切ったのに優しくするの?!嫌い嫌い嫌い嫌いキライ!私を抱きしめないで!私に触らないで!期待するのはもうイヤ!期待して哀しくなるのはイヤなの!私はあの子に復讐出来ればいいから!なんにもいらない!だから、だから私のことは放っておいてよ………』


言ったあとにはっとした。
私は今、なんて言った…?

やって、しまった。
こんなこと言うつもりはなかったのに。

私は驚いて力を緩めた景吾くんの腕を振り払って逃げるようにその場を後にする。
でも、景吾くんは私を追いかけてきた。
もちろん、テニス部な景吾くんをまけるはずもなく私は景吾くんに追い詰められる。


『っっっ、』

「どういうことだ。俺たちがいらない?そんなのは赦さねぇ。」


きっと、景吾くんは本気で怒ってる。
景吾くんの目はギラギラと光っていて、まるで獲物を狙うような目をしている。

なんで?なんで怒る必要があるの?
景吾くんたちは私を捨てたでしょう?

私は駄目なの?
この、苦しくて哀しいなにかを持ってなくちゃいけないの?


誰か、教えてください。








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