有澤Side

泣いている蜜乃をなぐさめながら頭の中では蜜乃を嘲笑う。
だって、この子って自分のこと逆ハー主だと思ってるんでしょ?
あはは!ホント面白い!

こんな子が逆ハーになれるわけないじゃない!だって逆ハーになるのは傍観主って決まってる!
だから私は神様に頼んで傍観主にしてもらったのよ?
ただ、傍観するだけじゃつまらないから時期が来たらテニス部のマネージャーにもなれるようにもね!
…でも、問題は跡部心愛よね。なんか景吾の妹みたいだし。
たぶん、アレは異物。この世界にはイラナイもの。だってこの世界は私が中心だから。え?上総?上総はただの私の引き立て役に決まってるじゃない!
ホントは1人で来たかったのに…
やっぱり生贄が多かったのかしら?


「大丈夫か?」

「ひっく…」

「忍足、蜜乃に謝れ。」


私が侑士にそう言うと侑士はなにがおかしかったのか私たちを見てまるで嘲笑うかのように鼻で笑った。


「なにがおかしい。」

「別に、なんであらへんよ」

「じゃぁ、なんで…!」

私たちを嗤った…!

私のその言葉は発することなく口の中でつまった。
侑士が、恐い。
いつも、嫌な笑顔で笑っている侑士が突然表情を無くしてこっちをみた。
その無表情が私は怖くなって言葉を失った。


「?夏香ちゃん?どうしたの?」


いきなり言葉に詰まった私に蜜乃が問う。
今まで泣いていて下を向いていた蜜乃はなにがあったのかわからかったらしい。


「ぃ、いや、なんでも「ねぇ、なにしてるの?」っ!幸村…」


私が蜜乃の言葉に答えようとすると精市が私の言葉を遮った。


「ぁ、精市ぃ…」

「俺はここでなにしてるのか聞いてるんだよ。名前を呼べなんて言ってない。それに俺は名前を呼んでいいなんて言ってないよ。」


精市は冷たい目で蜜乃を睨む。そんな精市に蜜乃はさらに泣いてしまった。


「なんや、幸村やん。どないしたん?」

「あぁ、四天と立海のマネージャーがいなくなったからこっちにきたんだよ」

「そうやったんや。幸村も大変やなぁ。」


まぁね、 と精市は侑士に笑いかける。
そして泣いている蜜乃を無視して私に話しかけてきた。


「で、なんでここにいるの?」


蜜乃に話しかけたときとは打って変わって私に優しく微笑みながら話しかける。
あ、あぁ!精市は私のことが好きなのね!
そうよね!あんな阿婆擦れより私よね!
あはは!やっぱりこの世界は私のものなのね!


「ちょっと上総に頼まれてな。」

「そっか。で、荒川は?」

「えっ、あ…ひくっ…」


あぁ!馬鹿!馬鹿な女!精市は私のものなのに!
蜜乃が泣き続けていると、なにがあったのか気になったのか氷帝のメンバーが集まってきた。
私は蜜乃を庇うように立つ。
だって私は優しいからね!


『あの、何かあったんですか?』


私たちが口論しているとあの異物が間に入ってきた。気持ち悪い異物。きっとコレは世界を壊すわ。


「なんでもないよ。心愛こそどうしたの?」


精市はそう言ってアレに近づく。
精市は優しいからきっと私にアレを近づけたくなかったのね!優しい、優しい精市!
でも私は戦うお姫様なの!
だから、そんな気にしなくていいのに。
それに私は精市とアレが近づく方が嫌だわ。


『あ、幸村くんに用事があって…』

「そっか。じゃあ、あっちで話そう。」


精市とアレは手を繋いでここから離れて行った。あぁ!可哀想な精市!

アレのせいで…!
私はアレを睨む。アレは離れる時に私たちの方をちらっと見た。

私と蜜乃はその後、忍足に言われて自分の担当している学校へ戻って行った。


「(あ、マネージャー室にタオル忘れた。)」


私は忘れたタオルを取りにマネージャー室に向かった。
そこで見たのは精市とアレがキスをしているところだった。

私はすぐにその場を離れる。

なに、あれ。
私の精市になんでアレがキスをしているの?
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!!!!!!!!!


あぁ、やっぱりアレはこの世界の異物なのね。じゃぁ、私が殺さないと。

ね?





Fuck!



 
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