首に冷たい何かが触れた


『ん……な、に?』


それが気になって私は目を覚ます。


「あ、やっと起きたんだ。」


目が覚めた私が1番初めに目に映ったのは越前くんの顔だった。

冷たい何かは越前くんの手だったらしい。


『なに、して……』

「わかんない?」


越前くんは私に馬乗りになって笑っている。


『降りてくださ……っ!』

いきなり越前くんが私の首元に顔を埋めて来たと同時に首がすごく痛くなった。

な、に?なんで痛いの?


『やっ!いたい!越前く、やめっ』

「はぁっ……やっと出来た。俺のシルシ。」


そう言った越前くんは恍惚とした表情で笑っていて、私の首には越前くんが思い切り噛み付いた跡ができていた。


『なんで、』

「俺さ、ずっと気になってたんだよね。」

『なに、をですか、?』


越前くんはさっきまで笑っていたはずなのに、いきなり無表情になって呟く。


「なんで、心愛は敬語使うの?」

『それ、は癖で、』

「嘘つき」

『っ!』


越前くんはまっすぐに私を見つめる。私はその目から反らせなくて、

もうやだ、なんで私なの。私は愛せない。この世界を私には愛すことができないのに、


『やめ、て』

「ねぇ、敬語やめてくれない?」

『や、』


越前くんは私に覆い被さるような体制になる。なにをされるか分かっているのに私は、拒めない


『んっ………』


優しい、触れるだけのキス。


「ねぇもう俺らに縋りなよ」

『っ――――!』


やだやだ。ダメ。ダメだよ。


『わた、しは』


復讐のために生きるの。
それ以外はできないの。
そう決めたのは私だから、私が悪いんだよ。


「……ごめん、」

『え、』

「そんな風に泣かないでよ」


私は泣いていた。嗚咽もあげず、ただ、涙を零す。


『ごめんな、さい、』


これもすべて私が悪いの

越前くんが泣きそうな顔してることも、私が泣いているのも。





It's my fault.



 
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