朝食は結局隣に不二くんと手塚くん、前には越前くんに挟まれて食べた
私はなるべく早めに食べ終えるとみんなより早めに出てコート整備をしに行った。


『重………』


立海の練習と比べて青学はたくさんのボールを使うのでいつもよりカゴが重かった。


「心愛ちゃん大丈夫?俺も手伝うよ」

『あ…かわ、むらくん?大丈夫ですよ。もうすぐ着きますし。』


河村くんが私が持っているカゴを自分の方へ引き寄せたので私はそれを軽く制するように河村くんの手を拒む。
手伝うって言われて遠山くんみたいになったら嫌だしね。


「遠慮しないで、ね?」

『っ!』


河村くんはそう言うと困ったような笑顔で私の手首を掴んだ


「渡して、くれないかな。俺、心愛ちゃんに無理させたくないんだ」


そう言いながらも掴む力は一向に緩まない。むしろだんだん強くなってる気がする。


『でも……っ!』


私がやっぱり断ろうとすると今までの比じゃないくらいに手首が痛くなった


『あ、…っ!お願いします、だから離して……!』

「あ…ごめん」


河村くんは私が離してと言うとはっとしたように手を離してくれた。

私は河村くんから距離をとるように一歩後ろに下がる

『っ!』


でも、それは手首の痛みによって叶わなかった


「あ…手首、痣になっちゃったね」

『え、ぁ、』


確かに私の手首は大きな手の型をした痣になっていた


「本当ごめんね、これやっぱり俺が持ってくから」

『ぁ、ありがとう、ござ、います』

「ううん、大丈夫だよ」

そう言って河村くんは私が持っていたカゴを奪うようにとるとテニスコートに向かって行った。

河村くんがごめんね、と言っている顔は確かに謝っているはずなのに笑っていて、何故だかその笑顔が私にはとても恐く感じた。







Your smile was dread



 
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