私はテニスコートまで走るとそこに座って息を整えながら、白石がなぜあんなことをしたのか考えていた。
なんで白石は私にあんなことしたんだろう?
あの子がそう言う事をやられるんじゃないの?
もう意味わかんないよ。
とりあえず、忘れよう。
忘れればいいんだよね。
あ、テニスコートの整備しなくちゃ。
私があのことを忘れ、テニスコートの整備をしてるとこの世界の主人公とそのライバルになりうる存在がやって来た。
「コシマエ〜!テニスしよーや!」
「しつこい。俺は越前だし。…………あ。」
「どうしたんや?あ、立海の美人マネージャーさんやん!」
そう言いながら、遠山くん達は私に近づいてきた。
なんで会っちゃうんだろ?
私は、この世界の主人公に会いたくなかったのに…
「ねぇ。朝ご飯食べないの?」
『私は食べましたので…』
「わいらと一緒やん!あんなぁ、わい遠山金太郎言います!よろしゅう!」
「越前リョーマ。…よろしく。」
自己紹介をした遠山くんは私に握手を求めてきた。
なんでよろしくするんだろう?
なんで握手をするの?
本当に意味がわからない。
私が握手するのをためらっているのが分かったのか、遠山くんは私の腕をつかんで無理矢理握手をさせた。
『っ!あの、離していただけませんか、?』
「?なんでや?」
「いいから遠山は早く離しなよ。」
越前くんが遠山くんに注意すると遠山くんは渋りながらも私の手を離した。
『あ…ありがとうございます。』
「別に…」
『では、私はまだマネージャーの仕事が残っていますので失礼します。』
私がそう言って、移動しようとすると二人は私に着いて来た。
『…あの、なんで着いてくるんですか?』
「姉ちゃん一人だけでやるんは大変やろ?だから手伝おう思って!」
「そう言うこと。」
なんであの子じゃなくて私なの?
私は一人でいいのに。
私は愛してた、ううん愛してる人たち以外もう何もいらないのに。
それ以外欲しがっちゃ駄目なんだよ……
「あのさ、なんでそんな悩んでるのか知らないけど、俺達が好きで手伝おうって思ったんだからそれでいいんじゃないの?」
『っ!』
「そうやで!コシマエの言う通りや!」
なんで?なんで?
最近わからないことだらけだ。
私は誰かに甘えていいの?
私は、誰かを愛してもいいの?
「私が思うに跡部心愛も私たちと同じ異端者だ」
あ……そう、だよね。
私は愛されてなんかない。
忘れたいけど忘れちゃいけない。
私は、あの子がいなかったらここにいなかったんだもん。
私にはあの世界だけなんだ…。
ほだされる?
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