今日から合宿
私は誰もいない自分の家に鍵をかけると、いつもよりも早く家をでた



………
……………


学校の門をくぐってテニス部の部室に荷物をとりに行くため向かう。

合宿のことを考えてると部室にすぐに着いた

自分のジャージのポケットから部室の鍵を取り出すとその鍵で部室の扉を開けた


「おはようさん。心愛」

『あっ…おはようございます。仁王くん』


私がテニス部の部室に置いてあった荷物を正門まで運んでいると、いつの間に来たのか仁王雅治が私にあいさつしてきた


「荷物重そうじゃのう…俺が持ってやるぜよ」

『私なら大丈夫ですよ。仁王くんは早く正門に行ってみんなに挨拶しなくていいんですか?せっかく仁王くん何時もより早く来ているのに…』


とにかく私はもうテニス部レギュラーたちの優しさとか好意とかに触れたくなくて、とっさに仁王雅治にその言葉を言った


「心愛。」


仁王雅治は私の名前を言うと、何をすることもなく表情を無にしてじっと見つめてきた


『っっ!あっ………』

「ククッ…俺が恐いんか?」


仁王雅治は笑いながらそう言うとそっと私の首に手を添えた


『ひっ……!』

「心愛の首は細いのう…なぁ、心愛。俺らを拒絶するのは許さんぜよ?拒絶しちょると俺は―…」

殺しちゃうかもしれん

『あっ……にぉ、うくん、?』


そう言った後、仁王雅治はこれは俺があっちまで持っていくと言って、私が持っていた荷物を取り上げると一人で正門まで行ってしまった

私は力が抜けたように地面に座りこみ、仁王雅治の後ろ姿だけを見つめていた








仁王Side

「…仁王」

俺が心愛から荷物を取り上げて正門まで行くとどこから聞いとったのか幸村たちが恐い顔して俺を待っとた
赤也と荒川だけは遅刻しとんのかいなかったが


「なんじゃ?」

「なんで心愛にあんなこと言ったんだ」

「みんな思っとったことじゃろ?それに心配しなくても心愛は俺たちからもう逃げられんよ」


俺がそう言ってにやり、と笑うと幸村たちはどこか不愉快そうな顔しながら、そうだけど…と呟いた

まあ、たぶんじゃが幸村たちは自分たちで心愛に言いたかったんじゃろう

心愛の怯える顔も俺らにとっては最高じゃき

そんなことを考えてると、心愛がやっと正門に来た


『あっ……にぉう、くん…さっきは、荷物を持ってくれてありがとうございました…』

「プリッ」

「心愛。今日のドリンクのことなんだが―…」


やっぱり心愛はどんな表情でも可愛いのぅ
それにしても参謀はズルいぜよ
心愛と参謀をじっと見つめていると赤也と荒川がやっと来たらしい

俺たちは来ていたバスに乗り込むと合宿所を目指して出発した


合宿が楽しみじゃのう…





狂気に触れる



 
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