合宿まであと3日――


昨日からあの子がおかしい
なんか企んでるような素振りを見せるようになった

まあ私には関係ないよね
私があの子に復讐するのは変わらないことだし
まあ、とりあえず早く部活行かなくちゃ

私が校舎から出ると一人の女の子が私に話しかけてきた


「すまない」

『はい。なんかご用ですか?』


?この子は誰だろ?
青学の制服だよね
それにしても初対面の人にタメ語かぁ


「あぁ、私は青学テニス部マネージャーの有澤夏香だ。合宿の資料を届けにきた」

『そうですか……私は立海マネージャーの跡部心愛って言います。』

「跡部………?」

『ええ、それがどうか致しましたか?』

「いや…気のせいだと思うから気にするな」


跡部って聞いて何を考えたんだろうね
青学のマネージャーかぁ
この子も私たちと同じなのかな?

案内してる時にそんなことを考えていたら有澤夏香さんが私に話しかけてきた


「立海のマネージャーは跡部しかいないのか?」

『いえ…私と荒川蜜乃さんという方がいます』

「そうか……」


嫌われかな?と呟いた有澤夏香の言葉を私は聞き逃さなかった

この子も私たちと同じなんだ
まあでも、私の復讐を邪魔しないならどうでもいいけど


『あ、ここですよ。着きました。』

「あぁ、ところで部長は中にいるのか?」

『部長なら今ごろテニスコートで後輩の指導をしてますよ』

「じゃあ、そこまで案内を頼む」

『はい。わかりました』


この子はありがとうも言えないのかな?
きっと人が自分に従って当然と思う人なんだろうなぁ


『あ、幸村くん』

「心愛。遅かったね。…ところで、後ろの人は?」

『この方は青「青学のマネージャーの有澤夏香だ。資料を届けにきた」…です』


この子ホントに常識ない!


「…そう。でも、人の言葉を遮るのは良くないんじゃないかな?」

「っ!あ、あぁそうだな。悪かった跡部」

『いえ、大丈夫ですよ。気にしてませんから』


幸村精市がそう言うと有澤夏香は怯えたように私に謝った


「それでこれが資料だ」

「あぁ。確かに受け取ったよ」


そうして、有澤夏香が幸村精市に資料を渡すと有澤夏香は立ち去るわけでもなくそこに立っていた


「…帰らないの?」

「あ、あぁいや、合宿までに部員を覚えようと思ってな」

「どうせ、合宿で紹介するんだから必要ないよ。だから早く帰ってくれる?部員の士気が乱れる」

「っ!あ、あぁそうだな。悪かった。私は帰る」

「心愛は早く着替えて仕事を頼むよ。あと、この資料も部室に置いといてくれ」

『はい』


幸村精市は私にそう言うと練習に戻って行った

有澤夏香は睨みつけるように私をみると、すれ違う時に耳元で

「私と同じこの世界の異端者だろ?精々、私を楽しませてくれよ?逆ハー主さん?」

と呟いて去って行った。


逆ハー主、ねぇ……
何を有澤夏香は勘違いしてるのか知らないけど、私はあの子に復讐出来ればいいんだよ
だから、有澤夏香が私を見て楽しむのだってどうでもいいの





望むはたった一つ



 
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