柳蓮二が丁寧にマネージャーの仕事をあの子に教えている
あの子は柳蓮二に見惚れていてほとんど聞いてなさそうだけど


「―――だ。わかったか?」

「あっうんっ!柳くんの説明わかりやすかったから!ありがとね!」

「大丈夫だ。分からなくなったら心愛に聞け。」

「うんっ」


柳蓮二は最後に私に一言頑張れとだけ言って練習に戻った


『では、私はドリンクを作りますから荒川さんはタオルを準備していただけますか?』

「はぁ?なんで蜜乃があんたの言うこと聞かなきゃいけないのぉ?意味わかんない」


やっぱり貴女はそういう子だよね
よかった。もし別人のような人だったら私、どうしたらいいか分からなかったし

「てゆうか、跡部って景吾とおんなじ名字じゃん!気持ちわるー」


そりゃあ、ね……
一応家族だし。
あっちはそう思ってないと思うけど


「まあいいやぁー!蜜乃は夢小説の嫌われ小説みたいな馬鹿な真似はしないの。残念だったねぇー傍観気取りのヒロインさんっ♪」


この子は私を傍観ヒロインだと思ってるんだ
全く違うのに……
もし、私にヒロインなんてつくとしたら復讐ヒロインだよ
まあ、私なんかがヒロインにはなれないんだけどね


『……何を言っているのか分かりませんがタオルをよろしくお願いします』

「っ!あんたムカつく…!どっかの誰かを思い出すわ」


そう言ってあの子はタオルを私から奪って部室裏に走って行った


ああ、楽しみなことが始まる
あの子が泣いてるところがやっと見れるんだ…!


それに、今の出来事を聞いてた人もいるみたいだしね





やっと始まる喜劇



 
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