また、沈んだ。
今度は暖かい光の海に。
優しい気持ちがスッと身体の中に入ってくる。
今まで感じたことのある優しい気持ち。
「心愛、心愛…私の可愛い子供。生まれてきてくれてありがとう。」
「景吾、お前は心愛を守るんだぞ。我が家の長男なんだからな。」
「ふふっ、あなた気が早いわよ。景吾もまだ赤ちゃんなんだから。」
……ああ、そうだ。
私が産まれたとき、お母さんもお父さんも、優しい気持ちで私を抱き締めてた。
「心愛!俺様が守ってやるからな!」
景吾くんも、優しくて、
私が、壊した。
復讐のために。愛されてることが信じられなくて。
信じられないから。
信じたいよ。信じたい。
信じたいのに。
両の瞳から涙がこぼれ落ちる。
哀しくて、寂しくて、
幸村くんも柳くんも真田くんも仁王くんも柳生くんも丸井くんも桑原くんも切原くんも、みんなみんな私が拒絶した。
『ごめんなさ、』
悪いのは私。
「起きろ。」
『け、ごく、』
景吾くんの声が私を揺さぶる。
心地良いテノールの声。
私の、血の別けた兄。
「頼む、頼むから…」
縋るようなその声に胸が締め付けられる。
哀しまないで、どうかどうか、私なんかのことで哀しまないで。赦されないことをしたから。とってもとっても悪いこと。きっと、誰にも赦されはしないこと。
「お前がいない世界なんて、必要ないんだ…」
ああ、でも、もしもまた生きていけるなら。
今度こそ、私は人を信じて、この世界で生きてくよ。
平和
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