「すっかり秋だな」
「そうだね」
夏目との沈黙は心地良い。話したいと初めて会った時に言ったのは私だけれどそんなに話すのは得意ではない。夏目も饒舌ではないから自然と沈黙は訪れる。でも夏目とだから何かを話さなければと焦ることもない。
最近は話す時間が短くなった。秋になれば夜になるのが早くなる。夕方と夜の間に会う私たちの時間も短くなるのは当然で。
「あ、一番星だよ、夏目」
「どこ?」
「ほら、あそ、」
ふわりと夏目の匂いがした。息遣いを感じるほどの距離に飛びのいてしまった。ぽかんと夏目の頭の斜め上にクエスチョンマークが浮かぶ。よかった。変な風に思われていない。
「あ、わかった、あそこだろ」
「…うん、そこ」
「…」
「(あ、れ)」
「夏目、」
ねえ何かあったの。それはとても嫌な予感。