苦しいなあ。夏の終わり、秋のはじまり。私たちはさようならをした。


愛情表現というものがお互いに苦手だった。絵文字だらけのメールや好きだと囁き合う電話が苦手だった。途切れたメールにどのようにして始めるか、たまにかかってくる電話では何を話していいのか、わからなかった。

『一緒に帰らへん?』
『うん、待ってる』
『今日部活はよ終わる』
『わかった』

久しぶりのメールに初めての下校。夏の終わり、秋のはじまり。私たちはさようならをした。自分の不甲斐なさや歯痒さが嫌だった。でもしあわせだった。苦しいなあ。

  
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -