「今お前暇だろい。海行こうぜ、お前の車で」

と誘ってきたあいつが時間になっても現れない。くそう。なんなんだ。電話帳から番号を出してワンコールで、窓を小突く音。

「わりぃわりぃ」
「で、なんで海」
「行きたいから」

丸井に何を言っても無駄だった。でも丸井との時間は女子特有の面倒臭さがなくて割と好きだ。

「俺さ最近女に狙われてんだけど。うぜー」
「誰?」
「お前の知らないやつ」
「丸井は顔だけいいからね」
「あ?もっと素晴らしいとこあんだろ」
「あーお菓子の腕はまじ尊敬」
「そんならやるよ」
「マドレーヌではないか!おいしー」
「彼女ほしいんだけど」
「その子と付き合えばいいじゃん」
「もっと可愛い子と付き合いてぇ」
「最低」

「あ、そういえばさ」
「ん?」
「同じ学部の子にさ、丸井と付き合ってるか聞かれてさ、どうかなって言ったんだよ」
「しね」
「だってさ、付き合ってないって言っても嫉妬されるしさ、丸井まじで顔だけなのにみんなどこがいいのよ…」
「お前も性格終わってるよな」
「だからこんなに気が合うんじゃないの」
「あー可愛くてお菓子が好きで性格がいい子と付き合いてぇ」
「丸井」
「あ?」
「わたしさ仁王と付き合ってんだ」
「まじでか」

でも丸井は仁王くらい大事だよ。

  
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