いけないとはわかっていても身体がベッドを欲していた。抗う力もなくてスーツのまま倒れこむ。ああ、皺くちゃになってしまう。明日も着なきゃいけないのに。とれかけた化粧も落とさなきゃ。もう十代の頃とは違うんだから。お腹にも何かいれなきゃ。これから残った仕事を片付けるんだから。でも、動けない。疲れた。いっぱい。
「スガ、コーヒー、飲みた、」
のろのろと言葉が出ていた。ほとんど無意識に。よっぽど疲れているんだ。悲しくなって笑った。涙は、出てない。
キッチン隅の君のマグカップ。もういないのに。
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