「久々知がね、電話くれたんだよ。何かあったんだろって。斉藤くんのこと心配だったんだと思うなあ」

手を繋いで外を歩くなんて、こんなにしあわせなことなんだ。知らなかった。きゅうと手を握れば、斜め上の彼はわたしを見下ろしてどうしたのって笑う。

「兵助くんが?うそ、すごくうれしい」
「斉藤くん、久々知に好かれてるね。いい先輩なんだ。久々知がお節介やくのってすごく珍しいんだよ。」
「う…うれしい」
「うん、ねえ斉藤くん。バイト先でわたしの話してるの?」
「えっ!なっ、なんで」
「久々知に相談するなんて、ふふ」
「ちょっ兵助くん何言ったの!?」

手、汗かいてる。かわいい、焦る斉藤くん。だいすきだなあ。泣きそうに、なっちゃうなあ。

「斉藤くん、だいすきだよ」
「……」

かおをあかくして少し早足になった彼に早いようって文句を言いながらついて行く。こんなしあわせって、ないね。斉藤くんが照れ隠しにおなかすいたってつぶやいた。今日は何をつくろうかなあ。斉藤くんの好きなもの、つくってあげるね。




0310~0731
かかとを鳴らす
いいね、ここだけの話だよ


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