君に誓う
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-Kakashi-




任務から帰って来ると、テーブルの上に置かれた小箱が目についた。
それは蓋が開けられた状態で、その隣にはメモ書きで『誕生日おめでとう』とある。
それよりも何よりも、オレはその中身を見て固まった。
それは──


「気に入ってくれた?」


そう言われて後ろからふわりと抱き締められた。
オレは何と言っていいか、ただただ困惑するのみだった。
センセは暫くオレを後ろから抱きしめていたけど、耳元に口を寄せて囁いた。


「二人だけの…結婚式だ…」


─結婚式─
その甘美な言葉に、オレは目を見開いてゆっくりとセンセを振り返って見た。
センセはとても綺麗な顔で微笑んでいて、そっと口づけてきた。
唇を重ねたまま「愛している…」と囁いて…。
オレは身体の力を抜いてセンセに身を委ね、オレも…とは言えず、ただ頷いただけ。
センセとの口づけは甘く、気持ちよすぎておかしくなりそうだ。現にオレは膝に力が入らなくてセンセに支えてもらってる状態だ。
そんなオレをセンセはベッドへ腰掛けさせた。オレは少しの安堵と一抹の寂しさを感じた。もう少しセンセの温もりを感じていたかったから。そんなオレにセンセは微笑んで、箱の中にあった物──
指輪をオレの薬指に嵌めた。


「これはね、誓いなんだよ」
「誓い?」
「そう──。お前を、カカシだけを愛するって」


オレはカアッと顔が熱くなるのを感じた。きっと真っ赤な顔になっているんだと思う。


「お前だけがオレの事を判ってくれる。お前がオレの支えになってくれているんだ…。お前が愛しくて堪らない。このままこの腕に閉じ込めて、誰の目にも触れさせたくないよ…」
「センセ…」
「愛しているよ…。未来永劫オレはお前のもの…そしてお前はオレのものだ…」


そう言われた時、目頭がじんわり熱を持った。視界が潤み出し、オレは泣いちゃうんだなと思った。恥ずかしい。悲しくなんかないのに…嬉しい筈なのに涙が出るなんて…。忍失格じゃないの…なんて心の片隅で思った。
オレは涙を流すまいと瞳を閉じた。けど、それは失敗だった。閉じた事によって溜まってた涙が流れ落ちてしまった。
センセは、流れてしまったオレの涙を拭うと再び口づけて来た。優しい口づけだった。
きっと一生忘れることのない──。
唇が離れていくと、オレは箱の中に残ったもう一つの指輪を手に取った。


「センセ…、オレもだよ。オレもセンセを愛してる。もう、どうしようもないくらい…。だから──」


その先は何が言いのか、よく解らなかった。だからオレはセンセを見つめるだけで何も言えず、黙ったままセンセの薬指にその指輪を嵌めた。
もうこれで後戻りは出来ない。するつもりもない。
祝福される関係ではないけれど、それでも、この気持ちに偽りはないから。
オレは一生…いいや、例え生まれ変わってもきっとセンセを愛するだろう。
そんな想いを抱えてセンセを見れば、センセは珍しく瞳が潤んでいた。


「センセ…?」
「はは…嬉しいよ、カカシ。お前からそんな風に言って貰えるなんて、思ってもみなかった」


そんな事を言われたら、恥ずかしくて顔を上げられないじゃない。
そんなオレをセンセは優しく抱きしめてくれた。




こうして二人だけの結婚式は

静かに始まった──。











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