R-18?
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──はらはらと桜の花びらが舞い落ちる。

半分近く葉桜となり、朧月夜にもの悲しく映える。
花びらの落ちた湖面は小さな波紋を広げ淡く月の光を反射していた。


そうした春の夜の風景を眺めているうち、カカシは先程まで荒れていた心が落ち着いてくるのを感じていた。


『あんなに怒ることなかったな…』


怒ることになった原因……キラキラと光る太陽のような髪と、抜けるような青い空と同じ色をした瞳を持つ人──四代目火影と些細な口ゲンカをした。

それは一刻程遡る。



暗部の任務を終え、報告をしに火影執務室へ向かう。ノックをすると入れとの応えがあったが、それは四代目ではなかった。


「失礼します」


ドアを開けるとそこにいたのは自来也であった。


「…あの…また抜け出したんですか?」


聞きたくはないが一応聞いてみた。報告を済まさなければ任務を終えたとは云えないからだ。


「いや、今暗部の所に行っている」


以外な答えが返ってきたが、抜け出したワケではないことに安堵した。


「分かりました」


暗部の所ならちょうどいい。と、踵を返した時、


「カカシ、新作読むか?」


振り返ると自来也の手には18禁と書かれた本がある。


「それ…オレが読んでもいいの?」
「ああ、構わんぞ」
「やったぁ、前から楽しみにしてたんだ、自来也先生の新作」
「おお、そうかの」


そう言われて満更でもなく、顔を綻ばせる自来也。が、あることに気付く。


「前作なんか渡しとらんぞ」
「うん。センセの読んだ、こっそりね」
「ああ、そうか。で、どうだった?」


ちゃっかり感想まで聞く。


「面白かったけど、ちょっとドキドキしたよ。自来也先生っていろんなこと経験してるんだね」


カカシは心底感心して言う。


「おいおい、全部儂の経験ではないぞ。…半分は他人の話や創作だ」
「ふ〜ん、でも半分は経験なんだ」


カカシの突っ込みに顔を赤くして反論する自来也。


「作家の書くこと全部鵜呑みにするんじゃない!…にしても、カカシ…お前、だんだん四代目に似てきたの…」
「そーお?これありがとね、じゃ」


カカシはドロンとその場から消えてしまった。


「その本、四代目に見つかるなよって、もう遅いか…」


一人顔を赤くしたまま呟く自来也であった。






──暗部部屋(そこは火影邸から隠し通路を通らなければ行けない)に着いたとき、四代目は他の暗部メンバーに任務を申し渡しているところだった。


「了解」


鳥面の者が答え、出ていく。
と同時に四代目が嬉しそうに振り返った。


「お帰り、カカシ」


四代目の笑顔を見ると、いつも帰って来たんだと実感するカカシ。


「ただいま戻りました。依頼No554、無事完了しました」


暗部の任務は文書で残らない。よって、報告も口頭で行われる。


「ん、お疲れ様。無事でなによ…カカシ…手に持ってるの何?」


四代目の声のトーンが少し低くなる。


「あ、これ?さっき自来也先生がくれたんだ」


カカシが見せるとサッとその本を取り上げる四代目。


「没収!」
「何で!?」
「何で?ここに18禁と書いてあるでしょ。18禁と言うのはね、18才未満は読んじゃいけないって事なの!」


言い合いが始まった。お互い引くつもりはない。


「自来也先生は読んでいいって言ったよ」
「何だって!?」

『あんのォ、自来也ァ、後で覚えとけょぉ』


怒りでドス黒いチャクラを纏わりつける四代目。







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