穏やかな時間
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火影様は大変忙しくてらっしゃる。
どんなに疲れていらっしゃっても、わたくし供にいつも笑顔でいてくださる。
そして優しく労いの言葉をかけてくださるのだ。

火影様にお仕えする者は皆尊敬している。
金髪碧眼の火影様は強くて優しいだけでなく、とても美しくていらっしゃるから、若い者達の憧れの的でもある。

そんな火影様にただ一人、つっけんどんな物言いが出来る人物がいる。

カカシ殿だ。

カカシ殿は、幼い頃から一緒に過ごしてきただけあって、火影様のことをよく把握している。
あの火影様がカカシ殿だけには頭が上がらないでらっしゃる。
それは、朝の会話から始まるのだ。


「あー、もう! センセ、野菜も食べなきゃダメでしょ!」
「いいじゃない、別に」
「良くない!栄養偏っちゃうでしょ!」
「嫌いなモノ無理して食べたって栄養になんかならないよ…」
「…………」


カカシ殿は、火影様に近付くと火影様の頬を両手で挟んだかと思うと、にっこり笑ってこう言った。

「じゃあ、オレが食べさせてあげる。センセ、目ェ瞑ってアーンして」

火影様は嬉しそうに言われた通りになさった。


「§ρ♯*刀※ヰゑ!」

火影様のカカシ殿に押さえられてる口から訳の分からない叫びが漏れる。

カカシ殿は野菜を口に入れた後、手で火影様の口を押さえてしまったのだ。これでは火影様も堪らないだろう。

なんとか飲み込まれたのだろう、火影様の口からカカシ殿の手が外された。


「酷いよ、カカシ〜」
「こうでもしなきゃ食べないでしょ。ん、でも食べたご褒美」


カカシ殿は、火影様の頬に軽くキスをした。

「え〜、カカシ。それって口にするものでしょ?」

「すっ、するだけマシでしょ!? だいた…あっ!」


カカシ殿はあっという間に火影様の腕の中に囲われてしまった。
その後すぐ口付けを受け、火影様にビンタをくらわすのだ。


「何すんだよ!ここは二人っきりじゃないんだよ!?」

「…もう皆知ってるよ?」



そう言われて、カカシ殿は真っ赤な顔になる。
そう、火影邸に勤めている者でカカシ殿が火影様の恋人だという事を知らぬ者はない。
そしてそれを咎める者もいない。
何故なら、火影様はカカシ殿といる時は凄く幸せそうに見えるからだ。


「だ、だからって…」

もごもごとカカシ殿は言うが、火影様はお構いなしに続けられる。

「もう諦めな、カカシ」


そのまま火影様は深く口付けなさる。
わたくし供はそっと席を外す。これもカカシ殿がいる時はいつもの光景だ。


わたくし供はこの光景が好きだ。とても平和で、光を感じられるから。

外に行けば悲惨な現状が溢れているが、ここだけは違う。
優しく光溢れ、穏やかな時。



わたくし供は皆、この穏やかな時間を守りたいといつも願っている。





end.
08.05.25






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