孤独1P/3P
朝を知らせる小鳥の鳴き声に、深い眠りから徐々に覚醒へと意識が昇っていく。
そんな中、暖かい温もりが離れギシリとベッドが軋む。
その軋みにとろりと目を開ければ、四代目が脱ぎ散らかした服を拾い身に付けているところだった。
その白い背には消えかけた赤い筋が、それをつけた者の存在を強く主張していた。
自分が付けたのではない、別の誰かが付けた痕。
夕べ、四代目は自分がその背に手を廻すのを拒んだ。
廻そうとすれば、腕を掴み押さえつけられた。
多分、四代目は、自分の背中に爪痕があるのを知られたくなかったのだろう。
カカシ以外にも、抱く人物がいることを知られたくなかった。だから、背中に腕を廻させなかった…。
その誰かは察しがつく。
だって、噂になってるから。
そして、その人物は、白い背中に腕を廻すことを許されたのだ。
自分は、縋りつくことは許されなかった。
その心に、入り込むことは出来ないのだ。
閨の睦言で愛していると囁かれ、信じていた。
けれども、その背に縋ることは許されず、ただ嬌声をあげることのみ許された。
自分は、彼にとって何番目なんだろう?
一番ではないなら、その心にどのくらい自分という存在は占めているのだろう?
きっと、半分も占めてはいないだろう。
その心にいるのは、彼女だろうか?
視線を感じたのか、四代目が振り向いた。
その顔を見た途端、カカシの目から涙が溢れた。
それを見て、四代目は黙ってベッドへ腰掛け、カカシの柔らかい銀色の髪をかき混ぜ、涙を拭った。
「今日は休みだから、もう少し寝てていいよ…」
いつものように髪を梳きながら、優しい声で言う。
その声を聞きながら、不意にカカシは自分は独りなのだと感じた。
こんなに近くに居るのに、心は遠い。
こんなにも、心は貴方を愛してやまないのに、この想いは届かない…。
貴方の心に住まうことは許されなくても、貴方を想うことは許してください。
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