Happy Birthday!
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「たっだいまー!」
「お帰りなさい、センセ」


ちょうど夕飯時、センセは息急ききって帰ってきた。はぁはぁ言ってるセンセなんて珍しい。


「どうしたの?そんなにはぁはぁ言って」
「ん、今日は記念すべき日だから、少しでも長くカカシと居たいから、急いで帰ってきた」
「記念?何の?」
「へ?」


本当に分からないのか、きょとんとした顔でセンセを見つめる。


『そのあどけない顔も可愛いけどね』


「カカシ、今日誕生日でしょ?」


「…あ……」



カカシが自分の誕生日を忘れてるのは毎年の事だけど、この子は自分の生まれを気にして故意に忘れようとしているみたいだ。
忌まわしき己の出自。
けれど、はたけサクモ≠ニいう男が一人の女を心底愛して、そして生まれてきたのだから、もっと自分を愛して欲しいと思う。


「カカシ、オレはお前がこの世に生まれてきてくれて凄く嬉しいよ。だからもう過去は気にせず、自分の事もう少し愛してあげなさい」


長い沈黙の後、小さな声で「はい」と答えるカカシ。
暫くカカシを抱き締めた後、軽くキスをした。


「ん?カカシ、今日のオカズは南瓜?」
「…の、そぼろあんかけ。センセ、肉ばっかで野菜食べないんだもん」
「アハハ…苦手なんだよ、野菜。……んー、でもツマミにはちょうどいいかなぁ」
「つまみ?」
「じゃーん!」


そう言って、カカシの目の前に差し出されたのは一升瓶。


「………」
「一緒に飲も!」
「オレ……飲めませんよ…?」
「大丈夫。これ子供用(というのは嘘だけど)だから飲めるから。それと、これ」


次に出てきたのは大きなケーキ。


「……センセ…でかすぎ…」
「…いいの!お祝いなんだから!」
「だからって…それ、10人分位ありそう…」
「いいの、いいの。さ、飲も呑も!」



カカシの背を押し台所へ行き、カカシの用意したおかずをつまみにして。


「誕生日おめでとう、カカシ」
「ありがと、センセ」


乾杯とグラスを鳴らし、口をつける。甘い味のお酒。
カカシは一杯目ですでに顔を赤くし、二杯目が終わる頃には目がトロンとしてきた。


「うわ〜、カカシ大丈夫?」
「…も…ダメ……眠い…」


まさかカカシがここまで弱いとは思わなかったな……


「ん、じゃベッド行こうね」



ホントはこの後、思いっきり愛し合いたかったんだけどね……ま、それはまた明日にしよう。
そんな事を思ってカカシに近づくと、カカシの方から首に腕を廻してきた。そのまま、コテンと頭を肩に預け眠ってしまった。


『うっわ〜、珍しい。カカシがこんなに素直に甘えてくるなんて…。酒、飲ませた甲斐があったな。愛し合えないのは残念だけど』


そんな不埒な事を考えつつ、カカシをベッドへ寝かせてやる。


一通り後片ずけをし、シャワーを浴びて戻ってみると、掛布団から銀の髪をちょこんと出して眠っている。
その隣に身を滑らせれば、温もりを感じたのか、スルリと擦り寄ってきた。
少しの間もそもそ動いていたが、落ち着ける場所を見つけたのか、顔を胸に埋めるようにして動かなくなり、安らかな寝息が聞こえ始めた。

その、カカシにしては珍しく子供らしい甘えた仕草に、どうしようもなく愛おしさを感じてしまうのであった。




「おやすみ、カカシ。お前にとって、誕生日が嬉しい日になることを祈っているよ」









06.09.15






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