孤独
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「…センセ、キス、して…」

「ん…」


軽く啄むようなキスをして、唇を合わせたまま四代目が聞いてきた。



「カカシって、オレの名前呼ばないよね? どうして?」

「…だって…」


『それは、オレの他に呼ぶ人がいるから…』


続く言葉はカカシの口の中に消えていった。

自分以外にも、閨で「ミナト」と呼ぶ人がいる。それが嫌だった。

だから、自分は呼ばないと決めた。







小さな誇りなのだ。


傷跡を付けることを許された人物と、同じ
名前を呼びたくはない。
自分に唯一許されてるのは、幼い頃から呼んできたセンセ≠セけだから。



この里でオレにだけ許された言葉だから。



だから、オレは名前は呼ばない。




カカシの想いは伝えられることなく、ただ、口付けだけが繰り返された。








センセの心の何十分の一でもいいから、その心にオレという人間を住まわせて…。


それは贅沢すぎる願いですか?







カカシ。
カカシには、オレの名前を呼んで欲しかった。


他の誰でもない、お前自身に。


お前は肌を重ねている時も、名前を呼んではくれないね…。


オレという人間を示す名前を、誰よりもお前に呼んで欲しいのに。


カカシ、お前はオレが想っている程にはオレのこと想ってはくれないのだろうか?



いつだって、心はお前のことで一杯なのに…お前は違うのかな…。



いつか、お前の心をオレで一杯にして欲しいな。


そんな悲しい瞳でオレを見つめるのではなく、お前には幸せそうに微笑んでいて欲しいよ。



掴んだと思ったお前はするりとオレの指の隙間から抜け出して、オレをまた独りにするというのか?


愛していると、愛されていると思っていたのは、オレの独りよがりだったのか…。



カカシ…独りは辛いよ。


オレを愛して…








end.
07.12.30





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