必殺・上目遣い 2
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抱きしめたカカシは震えていた。
当然だろう。カカシは己の忌まわしい出自を告げたのだから。

どれ程勇気がいったことだろう。
どんな思いでオレに告げたのだろう…。


カカシの心を思うとやるせなかった。
カカシを抱く腕に力がこもる。


「それでも、オレはお前が生まれてきてくれて良かった。お前と出会えて良かった…」



「お前が…カカシが好きだよ…」



そう言うと、カカシは胸の中で震えだした。きっと泣いているのだろう。
オレはカカシが泣き止むまで頭や背中を撫でていた。

やがて涙が治まると、カカシはオレの胸の中から抜け出そうとした。
そんなこと許す筈がないだろう?
オレはカカシを抱く腕に更に力を込めると、カカシは苦しいと顔を上げた。濡れた瞳にドキンと胸が高鳴る。


相手は13の子どもだ、などとごまかしはもう効かない。
オレはカカシに覆い被さるようにして、もう一度「好きだ」と囁いて唇を合わせた。
いつものように軽いキスではなく、薄く開いたところから舌をねじ込んで絡ませる。
こんなディープなキスは初めてなカカシは驚いてオレを押しのけようとしたけど、覆い被されている上、力だってオレの方が上だ。出来るわけないだろう?

オレはカカシの口の中を充分に堪能し、それからゆっくりと唇を離した。
唇が離れるのを惜しむように、銀の糸が二人を繋ぐ。


「カカシ、分かる?お前のことが好きで好きで堪らないっていってるの…ほら…」

カカシの手を取り心臓の上に導く。ドキドキと跳ねる鼓動が手を通してカカシに伝わる筈だ。


「そして、こっちも…」


オレは自身の高ぶりをカカシに押し付ける。
こんなにお前を欲しがってるんだよと…。


途端にカカシの顔が赤くなる。可愛いなぁ。
路上で腕を組んで胸を押し付けてくるアバズレ共とは大違いだ。

そろりと上目遣いにオレを見上げてくるカカシが妙に色っぽくて、オレは理性をかなぐり捨てそうになった。


「カカシ…その上目遣い、やめてくれ…」

「え?」

「オレの理性がもたない」

そう言うと、カカシは困ったように笑う。


「あの…センセ、オレ、男だよ?」
「知ってるよ」

「…センセは女の人の方がいいんじゃないの?同情なら…」
「同情!? 同情なんかで自分のこんなみっともない姿なんか曝さないよ? まだ子どものお前に欲情してるなんて…」
「センセ…」
「オレはお前が好きだよ?これは男が女に抱く感情と変わりない気持ちだよ?オレはお前を愛している。だから、オレはお前を愛したい。オレもお前から愛されたい。そう思っている」


カカシの瞳が不安げに揺れる。
そうだよね、自分の出自を暴露してすぐに好きって言われたら、素直に信じられないよね。


「オレは、何もお前の出自を聞いたからこんな事を言ってる訳じゃないよ…。お前が本当に好きだから、本当はお前が大人になるまで待ってるつもりだった。けど、抑えきれなかった…」


オレはカカシの肩口に顔を埋めた。仄かにカカシの匂いが鼻を擽る。

「…本当に…?」

「嘘ついたって仕方ないだろう?」
「オレ…信じていいの…?」
「いいよ。信じられなかったら、信じられるまで何度でも言うよ。愛してる」


カカシの腕が背に廻された。細い腕で、キュッとしがみついてくる。
その時、無上の喜びが湧き上がってきた。カカシ、カカシと呟き、抱く腕に力がこもる。


「オレも…」

「なに?」


「オレも、センセが好きだ」


そう言ったカカシの声は震え、掠れていた。
カカシの顔を覗き込めば、カカシは真っ赤な顔をして、ちらりと上目遣いでオレを見た。


オレは理性のたがが外れるのを聞いた気がした。
情けないことに、オレは自分を抑える事が出来なかった。







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