エイプリルフール(ナルカカ)
「カカシ先生ー! おかえりだってばよ!」
「ただーいま」
「カカシ先生ー大好きー! 愛してるってばよ!」
「あー、はいはい」
「せんせー、オレ、せんせーを抱きたいってばよ!」
ナルトの爆弾発言に、そこに居た周りの忍達が驚き一斉に二人を見る。
カカシはナルトに拳骨を落とす。
その目元がうっすら紅くなっているのをナルトは見逃さなかった。
可愛いってばよ!と密かに身悶える。
「ナルト、冗談が過ぎるぞ。でも、まあ、抱かれてやってもいいぞ?」
今度はナルトが固まる番だった。じゃあオレは報告書があるからと、カカシはナルトの前から消えた。
報告書を出した帰り、カカシはサクラに会った。
「カカシ先生、もう大騒ぎですよ?」
「何が?」
「ナルトも里も。カカシ先生がナルトのモノになる…って」
「は? オレがナルトのモノ? 何で????」
たくさんの?マークを浮かべながら聞いてくる。
「だって、先生、ナルトに抱かれたいって…」
「オレ、そんな事言った覚えないけど?」
「え?違うんですか? ナルト、先生を抱けるって喜んでましたよ?」
「はあっ? 何でそうなるの? 抱かれてもいいとは言ったけど、あれはエイプリルフールの戯言でしょう?」
「「エイプリルフール!?」」
二つの声が重なった。見れば大きな目を見開いて涙を溜めたナルトがフルフルと震えながら立っていた。
「え? だって今日はエイプリルフールでしょ? だからナルトだって、あんな冗談言ったんでしょ?」
違うの? と小首を傾げながら聞いてくるカカシが、こんな状況にもかかわらず可愛いと思ったナルトとサクラ。
「違うってばよ! オレ、オレ…今日がエイプリルフールだなんて気が付かなかったってばよ…」
「…え?…」
「うわーん!酷いってばよー! だけど、オレは諦めねぇかんな! いつかカカシ先生を犯してみせるってばよー!」
ナルトは泣きながら走って行ってしまった。
「ナルト、それを言うなら『落としてみせる』でしょ…って、もう聞こえないか…。どうするの? カカシ先生」
「…う〜ん、ま、そのうち目が覚めるでしょ」
と、カカシは呑気に歩いて行ってしまった。
先生、ナルトに『諦める』って言葉ありませんよ…。
と心の中で呟くサクラだった。
12.04.01
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