青の瞳(ナルカカ)



カカシ先生が風邪ひいた。
体温の低い先生は少しの熱でも大変そうなのに、今回はかなり高い熱を出した。


苦しそうな息をして、熱のせいで顔を赤くして。不謹慎にも可愛いと思ってしまった。
頬にそっと手を当ててみれば、うっすらと開かれる色違いの瞳。

縋るような目つきでオレを見て笑った。

「センセ…」

そう呟くと、再び眠りへと落ちていった。


オレは唇を噛み締める。


そうさ、分かっていたさ。先生の好きな人は誰かなんて。
分かってて、それでも付き合いたいと言ったのは自分だ。いつか──

いつか先生が好きになってくれるんじゃないかと、心のどこかで期待して。


はは…バカだな…。
先生が少しはオレのこと好きになってくれているんじゃないかと思ってた。
だけど、そんなことなくて。
先生が悪い訳じゃないけど、勝手に傷ついて…。
ぐぐっと胸が苦しくなって、視界が涙で滲んでいく。
ゴシゴシと涙を拭い、カカシ先生の隣に潜り込む。
いつもより高い体温を感じながら、目を閉じる。けれど、眠りは訪れてはくれなかった。


翌朝、カーテンの隙間から差し込む光に目が覚める。いつの間にか眠っていたのか…。


カカシ先生の額に触れば、まだ熱はあるものの、昨日よりは下がっていて安心した。

ゆっくり先生の瞼が開かれる。夕べのような寂しげな瞳ではないけれど、何の感情も読み取れはしなかった。お互いだけを見つめていた。


「…ああ、ナルト…傍にいてくれたんだ…」
「うん…。目しか見てねぇのに、オレってわかったってば?」
「そりゃ分かるよ。そんな青い瞳はお前しかいないじゃないの」


少し掠れた、でも楽しそうな声で言う。

「…とーちゃんも青だってば?」
「お前のとは違うよ。…センセの瞳は澄んでて綺麗で好きだったけど、心の奥底まで覗かれてしまうような鋭さと、泉の底のような冷たさがあったんだ。お前のはあったかいよ。優しい感じだよ」



そう言って軽く唇に触れてきた。
オレはびっくりしたまま動くことは出来なかった。


「なによ…そんなに驚くことないじゃないの」
「え…だって、先生からキスしてくれるとは思ってなかったってばよ」
「…………………」
「先生、もう一回してくれってばよ」
「やだよ。移っちゃうでしょ…」
「風邪は移した方が早く治るって言うじゃん。だから、ね?」
「や…ごほっ…って言って…」


カカシ先生は咳き込んで、オレに背を向けた。

「あ〜、ごめん。先生、飯作るから、それ食べてゆっくり休んでてくれってば…」



風邪ひいた先生に無理はさせられないもんな。
オレは先生の頬にキスをして、台所へと飯を作りに行った。




10.03.10






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