愛してると言ってくれ(ナルカカ)


「なあ…先生、先生はオレの事好き?」
「? 好きだよ?」

何を当たり前の事聞いてるの?

そんな事を聞いてるようにカカシは首を傾げる。


「だったら言って欲しいってばよ」
「言ってると思うけど?」
「たまにしか言ってくれないってばよ。オレばっかり好きとか愛してるとか言って、先生からは愛してるって言ってもらった事ないってばよ」
「そうだっけ?」
「そうだってばよ!だから言って欲しいってば」
「何を…」
「愛してるって」
「う…」


カカシはほとほと困ってしまった。
そんな事恥ずかしくてそうそう言えるもんじゃない。だけど、言葉にしなくては伝わらないというのも分かってはいる。
分かってはいるのだが、恥ずかしさの方が上に立ち、なかなか言葉に表せないでいるのだ。
ナルトとてカカシから好かれている事は充分分かっている。
カカシが自分を愛してくれているから、カカシは自分に抱かれてくれているのだ。
そう思うが、時々不安になる。本当に愛されているのか、自分ばかりがカカシを愛していて本当は愛されていないのではないか。カカシは嫌々抱かれているのではないか。
極たまにそんな不安に駆られるのだ。
だから──

見れば、カカシは顔を真っ赤にさせて俯いている。それはもう茹でタコのように。
その羞恥に染まった顔を見て、ナルトは内心ほくそ笑んだ。もし、その顔をカカシが見る事が出来たなら、それは悪魔の微笑みのように見えたことだろう。
ナルトは、その笑みを隠したままカカシに催促する。

「言ってくれないのか?」
「いや、その…」
「やっぱりオレの事気持ち悪い? 九尾だから?」
「そんな事はない!」

カカシはナルトの言葉に弾かれるように顔を上げた。と、そこに映る不安げなナルトの瞳。

「ぷ…先生、顔真っ赤」
「は、恥ずかしいんだから仕方ないだろう!」
「分かってるってばよ。先生が恥ずかしがり屋だってことはさ。でもさ、言って欲しいんだってばよ」
「分かってるよ…」

「ね、言ってよ」
「う…うん…」


こくりと頷いたものの、恥ずかしさの為かカカシの瞳はうるうると潤み出した。


「ほ…本当に……あ、愛し………愛して…る…」

「カカシ先生!」


ナルトは感動のあまりカカシを抱き倒した。勢い余り、カカシの頭が床に当たり大きな音を立てた。


「いった〜。いきなり何するの。…受け身取れなかったじゃないの…」
「ご、ゴメンってばよ…」


謝りながらもナルトの顔は笑っている。いや、にやけていると言った方が正しいかもしれない。


「先生、オレ今すっげぇ嬉しい!先生から愛してるって言ってもらえるなんて、感動だってばよ」

カカシは恥ずかしさのあまり返す言葉もない。
その代わりのように、ナルトからキスの雨が降ってくる。
『好きだ』『愛してる』の言葉と共に。




その後、カカシがナルトの腕の中から解放される事は朝までなかった。





11.01.24






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