四カカ(パラレル)


それはむかし昔のお話。




ある所に龍の住む里があり、そこには掟を守りひっそりと龍達が暮らしていた。

龍達は水の力を主とする水龍と、火の力を主とする火龍、風を主とする風龍、土を主とする地龍がおり、それらを治める黄龍がいた。
黄龍は水・火・水・土の力を合わせ持ち、さらに雷の力をも持って君臨していた。その強大な力を示すかのように、額には豎眼を持っている。
この豎眼の持ち主には何人たりとも敵わない。
龍達は長命で、人の命の何千倍もの時を生きる。その中でも黄龍はさらに三倍の寿命を持つ。
長い歴史の中で豎眼を持つ龍が生まれてくるのは稀になり、今の黄龍家には後を継ぐ龍は生まれてはいなかった。
後継ぎが生まれない中、次代の長を誰にそえるか話し合いがもたれていた。
そんな中、水龍のサクモのところに赤子が生まれた。父親に良く似た銀色の子龍。その子龍の額には豎眼が現れていた。
サクモは直ちにその豎眼を封印し、ただの水龍として生まれた事を公表したのだった。
母龍は翌日亡くなってしまった。豎眼を持つ力ある龍を産むには力足らずであったのだろう。母を亡くした子龍はカカシと名付けられ、父の元で健やかに育てられた。

カカシはとても綺麗な子龍で、ニコニコと笑う様はとても可愛く、また利発な子で皆から可愛がられた。
特に家庭教師のミナトという風龍からは可愛いがられていた。カカシもまたセンセセンセと懐いていた。


長く揉めていた長の座にサクモが決まりかけた頃、サクモに謀反の疑いがかけられた。
本人は否定したが、証拠の品が出てきてしまい、サクモは処刑が決まった。
サクモは処刑される事を厭い、自らの命を断ってしまった。
子であるカカシは地下牢へ幽閉と決まる。
それに反対したのはミナトであるが、一龍でしかないミナトの意見は無視され、即日カカシは幽閉の身となってしまった。
陽の光の届かぬ地下牢で、カカシはこれから一生を過ごさなければならなくなってしまったのだ。
ミナトは己の非力を悔い、力を付ける事、権力を得る事を誓う。
そして数年後、サクモの冤罪を証明し、カカシを地下牢から救い出した。
長い間地下に閉じ込められていたカカシの肌は貫けるように白く、表情のない子になっていた。
ミナトはカカシを抱きしめ、すまないと謝り続けていた。
だが、ミナトの本当の戦いはこれから始まるのだった。





10.12.27






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