ハロウィン(子カカシ)
今日はハロウィン。
宗教は違うが、子供達が楽しいならと広まったお祭り。
里には至る所にカボチャのランタンが飾られ、子供達は思い思いに仮装してお菓子をもらいに玄関を叩く。
「とりっくおあとりーと!」
サクモとミナトの待つはたけ家にも可愛い声が響く。
下忍になりたてのカカシが、吸血鬼の変装をしてやって来た。
黒いシルクハットにマント。赤いリボンで留めて、手にはカボチャの飾りのついたステッキ。
ニコニコと二人を見上げる姿はとても可愛くて。
サクモもミナトも、デレデレと相好を崩す。
「とりっく、おあ、とりーと!」
ニコニコと笑うだけでいつまで経ってもお菓子をくれない二人に、もう一度カカシは叫んだ。今度は一語一語区切って分かりやすいように。
それでも二人はカカシを見つめるばかり。
とうとうカカシの口がへの字に曲がり、瞳が潤み出した。
その姿さえ、可愛いと思ってしまう二人。
「おかしをくれないんだから、いたずらしちゃうんだからね!」
ちょっと涙声混じりの声に、ようやくお菓子を渡した。
「ごめんごめん。カカシ君があんまり可愛いんで見とれちゃったよ」
「はい、お菓子。まだ回ってくるのかい?」
「…うちがさいご」
二人からお菓子を受け取り、小さな声で答えるカカシ。涙ぐんでしまったのが恥ずかしいのだろう。
「ん、じゃあカカシ君。今日どれだけお菓子もらって来たか、見せて?」
カカシは小さなポケットの中から幾つかの包みを出した。それから玄関脇に置いてある籠を持って来た。
「あれ?こんな籠持って行ったっけ?」
「ううん、つなでせんせーがもちきれないからって、これに入れてくれたの」
「そっか、良かったね。お菓子はいっぺんに食べないで、少しずつ食べようね」
「はい」
素直に返事するカカシがまたも可愛くて、思わず抱きしめて頬擦りしてしまう。その柔らかい頬が気持ちよく、いつまでも触れていたいと思ってしまう。
「おなかすいた」
それもカカシの一言で終わりを告げ、三人のささやかなパーティーが始まる合図となった。
10.11.02
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