↓おまけ



「ね、カカシ。何で月なんか見てたの?」
「特に理由なんかないけど…ただ月が綺麗だなって…」
「ん、一年で一番月が綺麗に見えるっていうしね。でも、月に手を延ばしてたろ?あれは何で?」
「あれは月に手を延ばしたんじゃなくて、カーテンを閉めようとしたんです。ちょっと眩しいと思って」
「カーテン!?」
「はい」
「月明かりなんてそんなに眩しくはないだろう?」
「そうなんだけど…」
「何?他にも理由があるの?」

「…オレ達のしてるコト、月に見られてる気がして…」
「見られてるって…月だよ?」
「そうだけど…」
「何?月に誰か住んでるなんて信じてるとか?」
「そうじゃないけど…」
「けど?」
「…月には常娥(じょうが)っていう美女が住んでるっていうし…」
「常娥? ああ、夫を信じる事が出来なくて、一人で薬を持ち出したっていう…」
「…………」
「何?カカシはそんな話信じてるの?」
「そうじゃなくて…、ただ、独りは寂しいだろうなって…」


こうして傍に寄り添っていても、孤独を感じてしまう時がある。決して相手を信じていない訳じゃない。ただ、心が遠く感じてしまうのだ。
それが月に住まうあの常娥のように、罪を犯しているような何とも言えない気分になるのだ。

俯いてしまったカカシを再び抱きしめて、ミナトは努めて明るく言った。


「大丈夫。あんなのは作り話なんだから。仮に居たとしても、お前と違ってオレ達はこんなにも信じ合えて、愛し合っているんだと見せつけてやればいいのさ」



そう、こんなにも愛してる。
おおっぴらには出来ない関係ではあるけれど。
闇に紛れて、人目を憚って。
だけど、お互い必要不可欠で。
だからこそ、こうして温もりを分かち合うのだ。


知らず知らずのうちにカカシを抱きしめる腕に力が篭っていたのだろう。カカシが苦しいと小さな声で呟いた。


「ごめんごめん。んじゃ、早速見せつけてやるとするか」
「え? うわっ!ちょっ、せめてカーテン閉めてからっ!」





カカシの言い分があっさり無視されたのは言うまでもない。






10.09.21






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