ナルカカ



「オレはお前とヤりたくない」


それはカカシの一言から始まった。





「先生、オレが嫌になったってば?」
「ん…まあ、嫌になったというか…何というか…」

「オ、オレと別れたいってば?」


驚き目を見開くカカシを見て、やっぱそうなんだと叫び、カカシの家を飛び出していった。



ナルトは自宅に戻ってくると、ベッドに泣き伏した。
しばらくして落ち着くと、何故こんな事になったのか理由が知りたくなった。
すっくと立ち上がり、ナルトはカカシの元へ向かった。
着いてみれば、カカシはベッドに寄り掛かり本を読んでいた。


「カカシ先生、わ…別れる前に、オレのどこが嫌なのか教えてくれってばよ…」
「別れるって…んー、そうだな……それもいいかもな…」
「だから…何で…」
「…オレと別れたら、お前、可愛い娘と付き合えるでしょ。そして結婚なんてなれば、お前に家族が出来る…。それはナルトの欲しかったものでしょ?いいんじゃないの?」


そう言いながらナルトの頭をくしゃりと撫でた手が、僅かに震えているように感じられた。
ナルトはカカシの手を取り、その手にキスをする。


「確かに家族って憧れっけど、オレが好きなのはカカシ先生、先生だけだ。先生がいるのに、何で他の奴と結婚しなきゃなんねぇの?」


「…ナルト…」

「なあ、先生。言ってくれってばよ…オレ、悪い所があったら直すからさ…。先生と別れるなんて嫌だ…」


言いながらポロポロと涙を零すナルト。
カカシは困ったような笑顔でナルトを見つめていた。


「…少し落ち着いてから話そう。コーヒーでも煎れてくるから…」


そう言ってナルトに背を向け、台所へと行きかけた。


「先生!先生はオレの事好きでもないのに我慢して付き合ってたってば?」




「……オレは好きでもない相手に足を開く程、尻軽じゃないよ…」

「…先生…」



ナルトはカカシを背中から抱きしめた。ふわりとカカシの匂いが鼻を掠める。


「あ…じゃあ、何でオレと別れるなんて言ったんだ?」
「お前…人の話、ちゃんと聞いてないでしょ…」


はあとカカシはため息を吐く。


「オレはお前とセックスするのは嫌だと言ったんだ」
「な、何で? 何でオレとえっちするのが嫌なんだってば? 気持ちよくなかった?」

「…そーじゃなくて…。お前、いっつもオレの事抱き潰すじゃないの…。体力に任せて何度も…。少しはオレの身にもなってよ」
「抱き潰すって…ひっでぇ!そりゃ何回もやっちまうのは悪かったよ。だけど、それってカカシ先生にだって責任あるってばよ!」
「何でオレに責任あるのよ?」
「だって、先生ってば感じやすいし、色っぽいし…あんな涙に潤んだ色っぽい目でオレの事見つめてさ。あんなカカシ先生を見て、止められるヤツなんかいねぇってばよ」
「……………」
「そんで、こうやってカカシ先生に触れてるとどんどん先生が欲しくなっちまって、止まんねぇ」



ナルトはカカシの頬に手を当て、自分の方に向かせ口づけた。
口づけたままカカシの身体を反転させ、片手は肩を、片手はカカシの股間に這わせた。
慌ててカカシは身を離そうともがくが、ナルトに握り込まれ大人しくなった。
ようやく離された唇に、ほっと小さく息を吐いてナルトの肩に顔を埋める。カカシを見れば、耳まで紅く染まっている。
その間もカカシを撫で続け、カカシの中心は固く形を変えていった。


「あ、もう我慢出来ねぇ。先生、ベッド行こ…」


カカシは返事の代わりにナルトの唇に己のそれを重ねた。

カカシとて本当は分かってはいるのだ。ナルトだけが悪いのではないということは。
ただ、余りにもナルトとのセックスは気持ち良くて…。求められるのが嬉しくて。
自分に歯止めが効かなくなってしまっているのだ。


溺れてしまう

縋り付いてしまう



もっと求められたい


もっと貪って欲しい




この愛を失ったら、もう二度と立ち直れないのではないか。

ナルトを抱き留めながら、自分が支えられている。それが心地好いと感じている自分がいる。

甘えていると思う。こんな年下の男に。
けれど、それを許している自分。
そんな自分が許せないと一方で思う。


カカシは戦きながら、ナルトを受け入れる。




「愛してる、先生」


ナルトが囁く。
カカシは縋る腕に力を込めてそれに答える。
夢見るように、酔いしれながら──。






10.08.26






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