四カカ
センセの笑顔を見るのが好きだった。
センセの笑顔が見られれば、幸せだった。
何がきっかけだったのか、センセが好きだと気がついた時、センセには既に彼女がいた。
間抜けにも程があるけど、同じ男に恋心を抱くなんて想われた方には甚だ迷惑だろうと、この想いは封印することに決めた。
それなのに、センセを垣間見れば想いが溢れてきてオレを苛んだ。
封印できないのなら、この想いは決して口にすまいと誓う。
だって、たとえ少しでもセンセの傍にいたかったから。
あの笑顔に触れていたかったから。
『カカシ、オレ結婚しようと思うんだ』
『カカシ、赤ちゃんが出来たんだ』
オレに一番に報告に来てくれるセンセ。
その度にオレの中で動揺は広がり、上手く返事を返せたか定かではなかった。
それでも、センセの幸せそうな笑顔を見られるのは嬉しかった。
センセの笑顔が全てオレのものだったら…なんて何度も考えた。
その度に打ち消してきたけれど、でも、そろそろ限界みたい。
センセがクシナさんと仲良く歩いているのが目の端に映った。
途端に走る動悸。
センセの笑顔が全てオレに向けられたなら…!
ああ、オレはこんなにもセンセを独占したいと思うのか…。
浅ましい自分の想いに戦いて、逃げるようにその場を立ち去った。
センセ
センセ…
センセが好きです
だから──
叶わないこの想いだけれど、想い続ける事だけはどうか許してください…。
10.07.27
前 次
戻る