夢 (ナルカカ)


夢を見た。



とても悲しい夢だった。






暗闇の中、涙が一筋頬を伝っていく。
涙を拭えば隣に寝ているナルトを起こしてしまうと思い、流れるに任せていたらついと涙を拭われた。


「せんせー、どうした?何かあった?」

囁くように声を潜めてナルトが聞いてくる。


「なんにもないよ。起こしちゃってごめーんね」


瞳を閉じれば、また一筋涙が零れていった。
ナルトが肘をついて起き上がり、カカシの涙を唇で拭き取っていく。


「…エロい事するね」
「こんなのちっともエロくないってばよ。せんせーこそ、本当に何ともないのかよ?」
「何ともないよ。ただ夢見ただけ…」
「夢?どんな?」
「ん〜、何か悲しかったな…。よく覚えてないんだけどね。真っ暗ではないんだけど、明るくもない所に一人でいてさ…。訳もなく寂しくて……」
「それで泣いてたのか?」


ナルトはカカシを抱きしめる。「泣いてない」と小さな声が聞こえてきたけれど、湿っている瞼に口づけて言った。


「別に恥ずかしいことじゃねぇだろ?夢なんだしさ。こうして抱きしめててやっから、もう一眠りしろよ」

「…うん…」


「せんせーはセックスするより、こうして抱き合ってる方が好きだろ?」
「どうして?」
「だって素直だし…。えっち始める時みたいな抵抗もないしな」
「抵抗って…オレは別にお前とするのが嫌なわけじゃないよ。まあ、ちょっと恥ずかしいというか…」
「分かってるって。恥ずかしがり屋のせんせーも可愛いけど、こうして素直なせんせーも可愛いってば」
「いい加減可愛いって言うの、止めない?」
「何で?」
「オレには似合わないでしょ。可愛いって歳でもないし」
「せんせーも諦めが悪いな。しょーがないじゃん。どんなにせんせーが頑張っても、オレには可愛く見えちまうんだから」


そう言ってナルトはカカシの額にキスをした。
いつの間にか悲しみは消え失せ、こそばったいような気持ちに変わっている。

それが何とも気恥ずかしく、カカシはナルトの腕枕に表情を見られないように顔を埋めた。
ナルトの手がカカシの柔らかい銀の髪に延び、感触を確かめるように梳いていく。
やがて静かな寝息が聞こえはじめ、ナルトはそっと髪に口づけを落とす。



「おやすみ、カカシせんせー。いい夢を見てくれってばよ…」





10.06.28






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