それぞれの想い 2



任務を渡す時、オレがどんな想いで渡しているとお前は思っているのだろう。
もちろん、お前ならやれると信じている。信じてはいるが心配もしてしまう。
分かっているだろうか?
信じている事と心配してしまう事は別物なんだという事を。
無事に帰って来れるだろうか?
怪我しないだろうか?
チャクラは残っているだろうか?
お前の無事な姿を見るまでは安心出来ない事を。
お前の実力はこの里の誰よりも解っている筈なのにね。
お前の少し不満げな顔を見る度に思うよ。
分かっているから、少しくらい心配するの許してくれないかな。
オレはカカシを抱きしめ、そして唱える。

『生きて帰っておいで』

口をついて出たその言葉は、言霊となってお前に纏わりつくだろう。
オレがお前にかけた呪だ。
お前には生きていて欲しいから。
それがオレの我儘だとしても。


「おかえり」


無事に帰って来た事に安堵の息を溢しカカシを抱き締めれば、カカシも僅かに身体の力を抜き、オレに身を任す。
その温もりが嬉しくて、生きている鼓動をもっと感じたくて、オレはカカシを抱く。
この愛しい存在。何よりも誰よりも大切にしたい。

『愛してる…』

そう囁けば、お前は悲しそうな笑顔で微笑み返してくる。
いつからそんな顔が出来るようになったんだろうね。
分かっている。
そうさせているのが自分だって事は。
そうしなければならなかったオレの立場もお前は解っているから、お前は何も言わずただ微笑むだけ。
ごめんね、オレのエゴでお前を傷つけて。
けれど、お前だけは手離せないんだ。離せばオレはオレでなくなってしまう。
お前がいるからオレは生きていけるんだ。
ねぇ、知ってるかい? オレが『愛してる』と囁くのは、お前だけだって事。他の誰にも囁いた事なんか無いよ。囁くつもりもないけどね。

お前の中は暖かくて気持ちいい。つい、夢中になって貪ってしまう。
まだ身体も成長途中で出来上がってないのに、無理をさせてしまう。
頭ではこんな事駄目だと解っているのに、心では求めてしまう。欲しくて欲しくて堪らない。
お前にはオレ自身を繕ってみても仕方がないから、ありのままのオレでいられる。お前に甘えているなと思う。
でも、許してくれるだろう?
カカシ、お前はその細い身体でオレを受け入れてくれる。その心で必死になってオレの全てを受け入れようとしてくれている。
それがどれ程幸せな事か解っている。
お前を愛せてよかった。
お前を傷つけている事は判っていても、お前を手離せない。お前がオレの生きる理由だから。
オレはお前にオレを刻み込むのに必死だ。笑ってしまう程にね。
オレが死んでも、お前にはオレを覚えていてもらいたいから。


「好きだ…愛してる、カカシ…」

「…オレも…」


小さな声で応えてくれるお前が愛しくて。
お前には…
お前だけには偽りのないオレを贈ろう……。








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