オーロラ





「センセ、何を見てるの?」
「ん? これ」
「わ…綺麗ですね」


ミナトが見ていたのはオーロラの写真集。そこにはさまざまに光を放つオーロラが写されていた。


「オーロラっていろんな形があるんですね」
「ん、誰かが言ってたけど、オーロラって地球が夢を見てる姿なんだって」
「へえ…どんな綺麗な夢見てるんでしょうね?」


ミナトは一瞬目を見開いたが、すぐに嬉しそうに微笑んだ。


「んー、どんな夢だろうね。でも、そういう事考えられるカカシが好きだよ」


そう言われたカカシは、少し恥ずかしそうに笑う。


「虹みたいに色もいろいろありますね」


恥ずかしさをごまかすように写真集に目を落とすカカシ。


「高度によって色が違うらしいよ。オーロラの色って、ほとんどが電子の降り込みが原因なんだ。発光が起こっている高度によって赤とか緑とかに別れるらしいよ」
「高度って、どのくらい?」
「ちょっと待って。……200q以上だと赤、200〜100qだと緑。100q以下でピンクとか紫が見えるらしいね」
「…想像つかないですね」
「そうだね〜」


本の解説に目を落しながら、ミナトは話す。


「こういう極地での任務ってほとんど無いから、この目で見る事はないだろうからね。こうして写真集で見られればいいんじゃない?」
「そうですね」


カカシはパラリとページをめくる。


「あ、これ降り注ぐような感じですね」


それは淡い緑の上から広がった光が下に集まるように見えるオーロラだった。
そうしてオーロラを見るカカシは、優しげな顔をしている。そのカカシの顔を見て、ミナトも優しく微笑む。





忍という生業の中で僅かに訪れるカカシとの穏やかな時間。
そのひと時が、とてつもなく愛おしい。
このひと時が少しでも長くあるようにと、ミナトは心密かに願わずにはいられなかった。





11.04.05



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