秘密の箱
参加者
総評.シルフ
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紫音さん総評
「いかり」を見ろ。
「いかり」を隠そう。
「かなしみ」は、遠くへ、どこか遠くへ。手の届かない場所へ。
「よろこび」はいらないと、君は言った。
最初から知ることすらできなかったものになってもいいと、君は言った。
自分はおそらく、すべてに「おこって」いたのだろうと君は言った。
舞台上の“自分”に眉をしかめながら。
「いかり」は知られない方がきっとよかったのだと君は言った。
しかし、飛び上がるほどの「よろこび」を代償にし、
君はもう一つの「いかり」を手にした。
自由になった後、そこになにもなかったら「かなしい」と君は言った。
寂しげに、ぽつり、つぶやいて。「わからない」と小さくこぼして。
そしてそれまで手にしていた「たのしみ」を、君は悪魔に食べさせた。
何も残らなくていいと。戻らないものに、手を伸ばす趣味はないと。
「おいしく食べてね」と、君は言った。
それは一体、どうしてなのか。
わからない。だって今や、それは悪魔の腹の中。
ぺろりと平らげられてしまったのだから。
その時、なにを思っていたのか。
それこそ、彼ないし彼女だけの秘密なのだろう。
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物事をはっきり白黒つける人、あるいは全てを分類する人なのかな、という印象です。
自分のテリトリー内にあるものには、特に。
導入にて、発見した「見知らぬ鍵」を即座に「必要ないもの」だと判断したところや、
ためらいもなく「よろこび」「たのしみ」を捨てたところからそう感じました。
意識的にしろ無意識的にしろ、
きっと紫音さんは物事をなんでも振り分けているのでしょう。
「要るもの」「要らないもの」
「有益な人物」「無益な人物」「害のある人物」
・・・他にも枠はあるのでしょうが、目に入った瞬間なにもかもを、
そのなかのどれかに振り分けるのが紫音さんなのではないかな、と。
もしかしたら、自分自身のことも。自分が置かれている状況でさえも。
自分に関することだと、多少、感情が先に出るようですが。
分類するために、初めて出会うもののことはよく観察するのでしょう。
ポップコーンを一口食べたのは・・・警戒心のなさ?
ハプニングの許容? 状況への適応?
ううん、ここはよくわからない。
とりあえず食べただけのような気がしないでもない。
目的のためなら、それには必要ないもの、ない方がいい人を殺せる人ですね。
切り捨てる人、とも言いますが。要らないものは、捨てちゃう人。
個人的解釈なのですが紫音さんは、本当は「いかり」を他人に見せたくはないけれど、
なんらかの目的のためにあえて「いかり」を表に出している人なのかな、と思います。
「よろこび」を捨て、「いかり」を見せることで目的を遂げようとしているのかな、と。
その目的がなんなのかはわかりませんが。
知られない方が、近寄らない方が、きっとよかったんだ。
でも、それだと、なにも変えることはできないから。
だから僕は、いかりを見せびらかすんだ。
目的へ進むその裏では、多少、不安を抱えているのかしら?
寂しがり屋な気がします。
「悲しむことすら許されない」と紫音さんは言いましたが、
わたし的には紫音さん自身が「悲しむことを許してない」に
近いんじゃないかなと思いました。
そして自分を揺らがせるものは「いらないもの」と判断しちゃう傾向があります。
これも目的を達成するため?
まとめると、
紫音さんは目的のために自分を殺せる人。
要らないものは、捨てちゃう人。ストイック。
未来だけを見つめようとしている人。
冷静な頭で、目的に向かって全速力。
剪定師