Garden


秘密の箱


参加者


総評.シルフ
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緒方くん総評


「たのしみ」は表に出して。
「かなしみ」は、誰にも見えないところへ隠して。
「よろこび」は、手に入れたいけれど過ぎたものだと思い直して。

誰かのために食事を作るのが「たのしい」と君は言った。
「誰か」は思い出せないけど、でも、本当に楽しいんだ。

大切な誰かのそばにいられないのは「かなしい」と君は言った。
まだよく思い出せはしないけど。

誰かに必要とされたとき「うれしい」と君は言った。
必要とされて、安心するのだと。

そして君は、最後に「いかり」を手元に残した。
それは一体何故なのか。
わからない。それは彼にだけ手渡された秘密だから。

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感受性の強い人。他人に同情する人という印象です。
いきなり見せられた映画のなかのライオンにすぐ同情できるところとか、特に。

それと、なにか確たる理由がないと、自分の正当性を確信できない人なのでしょう。
突然出てきた鍵、それも銀製で15cmほどもある大きなものを、
「もしかしたら自分がこれまで気づいていなかっただけかもしれない」と判断し、
もとあった場所に戻すという行動からそう思いました。
常に、とは言いませんが「もしかしたら自分が間違っているだけかも」という思考に
縛られることが多いのではないかと思います。
それ故に、なにかをするときの理由を自分の内ではなく外に求めます。
迷わず「いかり」を箱にいれ、鍵をかけたのは、理由を手放したくなかったからですね。
だってそれは、君の行動の指針であり、保証であり、時には免罪符となるものですから。

もともと優しい性格なのもあるのでしょうが、
「たのしみ」「かなしみ」「よろこび」への回答を見るに、
誰かに必要とされたいという念がとても強いようです。
隣にいてくれる誰かを手に入れたら、その人物にすぐ寄りかかるかもしれません。
奉仕の人、と言うと聞こえはいいですが、
誰かになにかを頼まれる、あるいは命じられることで
「ここにいてもいいんだ」と、自分の居場所を確保しようとしているようにも見えます。

悲しみを表に出してはいけないという考えも他人を慮ったことから出た思考ですね。
長男気質も相まって「俺がしっかりしなきゃだめだ」と自分を律しようとする人です。
これに「他人に必要とされたい」思考を合わせて考えると、
「兄として必要とされるためにはしっかりしなければ駄目だ。泣いてはダメだ」と
無意識のうちに思ってしまっているのではないかと推測しました。
考えすぎなのかもしれませんが。

そんな彼も、「よろこび」に憧れてはいるのです。
自分には過ぎたものと思っていても、憧れざるを得ない対象。
なんとなく、見ないように見ないようにと目を逸らすそぶりをしつつ
横目でチラチラ見ているような光景が浮かびました。

まとめると、
緒方くんは行動のための理由を外に求める人。
そして、行動のために必要な「確たる理由」が自分のなかにはないと思っている人です。
他人に必要とされたい人。
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