Garden


秘密の箱


参加者


GM.シルフ/本仮屋 ブルックリン
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GM:では、一人遊びで「秘密の箱」をやっていきたいと思います。
GM:ブルックリンさんは拠点の自室にて、珍しくも部屋の掃除をしていますね。急に思い立ってのことなのでしょう。案外手際よく掃除を進めています。
ブルックリン:床に積み上がった本の山を、ジャンル別に本棚に入れていますね。
GM:その時です。本を並べていた棚の上に、見慣れない鍵を発見します。はて、どこで手に入れたのか、何時の間にこんなところにしまったのか。あなたは不思議に思いますね。
ブルックリン:「・・・? こんなの持ってたっけ」首を傾げつつ、その鍵を手に取ります。
GM:しかしどれだけしげしげと見ても、その鍵に見覚えはありません。
さて、その日の夜です。掃除で疲れたからか、いつもよりちょっと早く眠りに落ちたあなたは、
夢の中で、見知らぬ扉を発見しますね。
その扉には鍵がかかっています。あなたの手には昼間見つけた鍵が握られています。
ブルックリン:「・・・こーいうのって大概これで開くよねー」なんて言いつつ鍵を差し込み、回そうとします。
GM:かちゃり、音を立てて、ドアは解錠されました。
ブルックリン:「(マジかよ)」思わずちょっと笑みをこぼしてドアを引きます
GM:ドアの向こうは真っ暗闇ですね。塗りつぶされたように真っ黒です。
ブルックリン:思わず固まりますね。闇から視線を外すことも、ドアを閉めることもできません。
GM:すると、とんっとブルックリンさんの背中が何者かに押されたと思ったら、
ブルックリンさんはドアの向こうへ足を踏み入れました。
GM:いや・・・正確には、踏み入れてはいないのですが。なぜならブルックリンさんは、そのまま闇の中へ真っ逆さまに落ちていったからです。
GM:・・・
GM:・・
GM:・
GM:・・・目覚めると、あなたは映画館の中にいました。
GM:ふかふかの椅子に座っており、膝にはポップコーンがあります。
GM:そうですね、ちょうど映画館の真ん中の席に座っているようです。
ブルックリン:びっくりして、思わず立ち上がりきょろきょろとあたりを見渡します。ポップコーンは床に散らばったことでしょう。それに「あちゃー」という顔をしていますね。
GM:すると、唐突にスクリーンの幕が上がり、映像が映し出されます。
ブルックリン:なんだなんだと思いつつ、立ったままスクリーンを見ています。
GM:映し出されたのは、
サーカスの舞台で活躍するライオン。

ライオンは人気者でした。
観客からの歓声を一身に浴び、彼は輝いていました。

しかし、ある日ライオンはえさを与えられず、
お腹がすいて、ひどく気が立っていました。

その日のショーで、
ライオンは人を噛んでしまい、檻に入れられてしまいます。

檻の中でぐったりしていると、支配人がやってきます。
いわく、3日後には自分は銃で殺されてしまうのだと、
ライオンは知りました。

ライオンは夢を見ます。
草原を自由に駆けている自分の夢です。

・・・そんな物語が、スクリーンには映し出されました。


ブルックリン:「・・・」訝しげな表情をしますね。
ブルックリン:悲劇じみた話は嫌いではなく、むしろ好きなものもありますが、いきなりこんな映像を見させられてちょっと嫌な気持ちになっているようです。
GM:あなたが不快感をあらわにしていると・・・ライオンの姿は、次第にあなたの姿に変わっていきます・・・
画面は暗くなり、あなたの周りも真っ暗になります。
ブルックリン:「は?」
GM:気づくとあなたは、四角い白い部屋に取り残されていました。
GM:あなたの目の前には、ライオンのぬいぐるみが4つあります。
それぞれ、「よろこび」「いかり」「かなしみ」「たのしみ」と札が首に下がっています。
GM:あなたがそれを確認すると、部屋の中に声が響きます。
「その子たちを、君が正しいと思うところに置いてあげて。
 君が思うまま、君の気持ちにだけ正直に答えてね。
  ・・・そして、きみがどうしても 自分の手に残したい気持ちだけ、持っておいで」

「ちゃんと置いてあげられたら、道を教えてあげる」
それだけ言うと声は途切れてしまいますが、
目の前に、<サーカスの舞台>、<鉄の檻>、<青い草原>のセットがあらわれます。
ブルックリン:「・・・」
ブルックリン:まず、<鉄の檻>に「かなしみ」を置きますね。
GM:するとこんな声が聞こえてきます。
「君はその子が、檻に入ることを望む?
 そこから一生出てこれなくて、一人きりになってもいい?」
「君は<かなしみ>を、そこに置いていくかい?
 それでよければ、その人形はそこに置いてお行き。
  ・・・違うのなら、ほかの人形を持っておいで」
ブルックリン:「・・・どうしろっていうんだよ」ちょっと後ろめたそうな顔をしながら次の人形を手に取りますね
ブルックリン:次に、<サーカスの舞台>に「よろこび」を置きます。
GM:すると声が響いてきます。
「君はその子が、舞台に立つことを望む? 大勢の前で指をさされたり、笑い物になってもいい?」
ブルックリン:「・・・」無理やり無視します。残りはいかりとたのしみか、と。
ブルックリン:考えて、そうですね、<青い草原>に、いかりを置きます。
ブルックリン:「君はその子が、自由になるのを望む?
 君の手を離れていってしまっても、いい?」
「君は<いかり>を、そこに置いていくかい?
 それでよければ、その人形はそこに置いてお行き。
  ・・・違うのなら、ほかの人形を持っておいで」
ブルックリン:「・・・いいよ」
GM:ブルックリンさんがすべての人形を置き終わると、こんな声が響きます。
「君はサーカスの舞台に<よろこび>を、
 鉄の檻に<かなしみ>を、青い草原に<いかり>を置いたね。
  ・・・この答えに迷いはないかい?
 あるいは、迷いを持ったまま進むのもいいだろう。
 準備ができたら、そこをくぐっておいで」
GM:そして目の前には、一つの扉が現れます。
GM:この時点で、それぞれの人形に対する思いがあったらロールしてください。
ブルックリン:一人きりにするのも、笑い者にさせるのも、したくない。かわいそうじゃないか。
馬鹿みたいだと自分でも思うけど。
自由になるぐらいなら、別にいいけど。だって、そいつがそれで幸せになれるのなら、それでいい。
ブルックリン:「・・・」ちょっと悲しそうな、むすっとしているような表情で扉をくぐりますね。
GM:さて、あなたが扉をくぐると、暗闇の道が続いていました。
ブルックリン:思わず足が固まりますね。クライノコワイヨー
GM:そんなあなたを、一つ目をぎょろりとさせたコウモリが、
まるで押すように貴方の背に身を何回もぶつけ、あなたをむりやり先へ進ませます。
GM:さて、そのうち暗闇の中にぼんやりと、サーカスの舞台に立つあなたが見えてきます。
「きみがあそこに置いたのは、ほかの人にもっと "見てほしい" "知ってほしい"と思っている気持ちだよ。
 君は<よろこび>をそこに置いたね」
GM:「舞台に立っている君は、
 <よろこび>に満ちていて、涙さえ落としているね。
 うれしさでむねがいっぱい、飛び上るほどしあわせな気持ち。
 君はその喜びをみんなに知ってほしくて、舞台に立っているようだね。
 観客の人たちも、君のその姿を見て、
 喜びを感じ、それを祝福していたかもしれないね」
GM:「・・・教えてほしいな、君はどんな時に<よろこび>を感じるかな?」
ブルックリン:舞台上の自分を見て、ちょっと微妙な顔してますね。なんか違和感。
「・・・しあわせな、とき、とか?友達とかと、笑って、ああ、幸せだなって思えた時、俺は喜びを感じているよ」
GM:「君は友達の事が大好きなんだね」
ブルックリン:「・・・ああ、そうさ」
GM:「そうか・・・ならそれは、確かに君にとっての喜びなんだろうね」
GM:続いて、檻の中にはいっているあなたの姿が見えてきます。
「きみがあそこに置いたのは、
 "隠しておきたい"、あるいは"感じることに罪悪感のある気持ち"だよ。
 君は<かなしみ>をそこに置いたね」
GM:「檻に入れられた君は<かなしみ>に震えている。
 閉じ込められている理由はわかっているし、理解もしている。
 けれど、この悲しみは消えることはない。
 君の涙はもうとっくに枯れてしまったね。
 周りの人も君に同情はしているが、
 なすすべがないのだろう、みな近寄ろうとしなかった。
 君の<かなしみ>はそうやって隠されているみたいだね
GM: 「・・・教えてほしいな、
      君はどんな時に<かなしみ>を感じるかな?」
ブルックリン:檻の中の泣いてる自分から、ちょっと目を逸らします。
「・・・置いてかれたとき?かな?」
GM:「ほう、それは、どうして?」
ブルックリン:「だって、置いてかれるってことは、一人きりにさせられてしまうってことだ。
自分で一人になることを選ぶならともかく、他人にそうさせられるのは、かなしい」
GM:「……そう。それなら君は、もしかしたら、
  嫌われたり、見捨てられたりするのが嫌なのかもね」
GM:続いて見えてくるのは、青い草原を駆けるあなたの姿。
「きみがあそこに置いたのは、"君にとって叶わない願い"だ。
 君は<いかり>をそこに置いたね」
GM:「青い草原の君は、唸り、猛り狂い、<いかり>を体いっぱいに表している。
 君は、そんな自分の姿に、あこがれ、胸を焦がしているんだ。
 同時に、この気持ちを、心のどこかで叶わない願いだと感じているようだね。
 このいかりを感じることができたら。それを知ることができたら。
 君はその<いかり>を、いつか手にできることを夢に見ているんだよ」
GM: 「・・・教えてほしいな、
      君はどんな時に<いかり>を感じるかな?」
ブルックリン:目を伏せます。「・・・ないがしろにされたとき、かな」
GM:「それはなにが、ないがしろにされたときだい?」
ブルックリン:「自分を含む、誰かが」
GM:「それはどうして?」
ブルックリン:「・・・だってその人には、それぞれ、なにかしら頑張ってたことがあるんだろ。
そうでなくとも、どんな理由があっても、存在を蔑ろにされてはいけない」
GM:「・・・そう。それはもしかしたら、君が感じ始めた「いかり」の姿なのかもしれないね」
ブルックリン:「・・・ってかさ、これまで答えてきてなんだけど、どんなときどういう風に感じるかって固定できなくない? そのときそのときで感じるのが”答え”なわけじゃん。」
GM:「はは、確かにその通りだ」
GM:「さあ、最後だよ」

「君が最後に手にした、
 その<たのしみ>は、君の"取り戻したいもの"だ」

「……おれは、心を食らう悪魔。君の心のことを知りたかったんだ。
 教えてくれてありがとう。
 ……お礼に、おれから手渡すものがある」

「その箱に人形を入れて、君が持っているはずの鍵で、
 その箱の鍵をしめてくれ。銀色の鍵だよ」

 あなたの目の前には小さな箱があらわれます。
 鍵をかける穴がついていますね。
 あなたの手には、
 ここに来るときの扉で使った鍵が握られています。

「それは、"秘密の箱"。
 どうして君が<たのしみ>をのこしたかは、答えなくていい。
 
  ──君にだけ、その秘密は明け渡される」

ブルックリン:言われた通り、箱の中に<たのしみ>を入れて、鍵をかけます。
GM:すると空間に割れ目が走り、ぼろぼろと崩れていきます。
闇への中へ、落ちていく感覚。
そして再び目を覚ませば、そこはいつもの、拠点のベットの上。
不思議な夢を見た気がする。

GM:……けれど、そこでの出来事はすべて忘れてしまった。
代わりに、<たのしみ>の記憶だけ、あなたの頭には残っていた……

GM:お疲れ様です。シナリオクリアです。

総評

「嬉しい」気持ちを知ってほしい。
「悲しみ」は檻の中に隠してしまおう。
「怒り」は、僕の手の届かないところにある。

友といるとき、嬉しさを感じると君は言った。
幸せの中にいることで、喜びを感じるのだ。
あたたかな幸せに囲まれることで、君は顔をほころばせるのだろう。

置いて行かれた時、悲しさを感じると君は言った。
しかし君は、その悲しさを隠してしまうのだろう。
誰も近づかない、一人きりの檻の中、君は悲しみに身を震わせる。
誰にも見えないところで、君はこっそりと嘆くのだ。

蔑ろにされたとき、怒りを感じると君は言った。
誰であろうと、その頑張りを否定されるべきでないと。
どんな理由があろうと、その存在を否定されるべきではないと。
そんな怒りを、手にすることに憧れている。
怒りをあらわにできる日を、心のどこかで願っている。

そして君は、「たのしみ」を手に残した。
「楽しみ」を、その手元に残した。
それは一体、どうしてなのか。
わからない。それは彼女にだけ手渡された秘密だから。

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たぶんプラスの感情だけ見てほしいんでしょうね。
ほら僕はこんなにも嬉しがっているよ。楽しんでいるよ。
そしてマイナスの感情は表に出すべきでないと思っている。
ある意味八方美人。

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