秘密の箱
参加者
総評.千穂
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たとえ笑い物にされようと、喜びを誰かに与えることは幸せなこと。
彼は喜びを<サーカスの舞台>へ。
檻の中に閉じ込められる感情はないといった。
自分の気持ちを、あの物語のように、
閉じ込め、殺してしまうことなどできない。
しかしその先の自由を知れば、きっとライオンは前を向いていける。
彼は<鉄の檻>の鍵を壊し、そこへ悲しみを置いた。
草原を走るのなら、"この子しかいない"、そう言いきって、
彼は楽しみを<青い草原>に置いた。
そして最後に手に残したのは、怒り。
彼は言った。怒りを抱えたライオンは、
ここを出て、たくさんのものをみるべきだ。
手に負えないものでも、捨ておくことはすべきではない。
彼は怒りのライオンを抱きしめて、そう言った。
前向きで正直な彼が、怒りという感情を手にした理由は、
それは解き放つべきではなく、
自分の手に残し、御さなければならないものだと、
そう感じているからだそうだ。
彼はその怒りの形を明確にとらえ、
自分のものにすべきだと、そう考えているのかもしれない。
わからない。それは彼にだけ手渡された、秘密だから。
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まず冒頭での鍵の処置から。
真っ先に「持ち主に返さねば」と彼は考えます。
その後、持ち主がみつからずとも、わざわざ丁寧に箱に入れて、
目立つ場所に置いておきます。いつでも持ち主に返せるように。
・・・すごく真面目で几帳面な人なのがうかがえますよね。
持つべきものがそれを持つべきだと、彼は思ったようです。
知らないものがそこにある不快感というよりは、
「誰かが困っていたら」という焦りや心配の気持ちのようですね。
続いてライオンの映像を見ての感想。
>「……サーカスの経営が苦しかったのか?餌をやらなければ、
肉食の獣は気が立つと、知らぬ訳でもないだろうに」
>これは悲劇だが、常に何処かで起こっている事だと、少し悲しげに眉を下げます。
そもそもこのライオンが舞台に立つ事がなければ、草原にずっといられたなら、良かったのに。
ライオンに同情しつつも、
「サーカスの経営が苦しかったのか」「いつもどこかで起こっていること」
と、現実的な考えを巡らせます。目の前の状況を的確に判断できる人です。
また、騎士という役柄のせいでしょうか、
そういった死や悲劇などに慣れているのかもしれませんね。
慣れてはいれど、それを悲しむことはできる人です。
また何かの自由を奪うことに関しては、あまり肯定的ではないようです。
「個」を尊重する人とも言えるかも知れません。
これは推測ですが、
おそらく戦いにおいても、自分と相対した人の「個」を重んじ、
常にあるものであろうとも、その人の死を、悼むことができた人なのでしょう。
続いて人形の配置。
【喜びの人形をサーカスの舞台へ】
>「この獅子がよろこびをあらわすのなら、
この舞台にたち、観客をどのような形でも喜ばせてやれることをよろこんでいるんだ」
これをクレールさん自身とするなら、彼の奉仕的な面がうかがえます。
おそらく彼は自分のつとめを果たすことに喜びを感じるのでしょう。
またそれは「果たすべきこと」なのだ、
という口ぶりにもGMには聞こえました。
やはり真面目な人だと思います。
【悲しみの人形を鉄の檻へ】
>「いかりも、かなしみも、たのしみも、映しだされた物語のように閉じ込めて殺してしまうことはできない」
>「檻の中には、どのライオンもいないんだ」
どの感情にも向き合っていたいのだと、彼は言います。
非常に正直な回答でしたので、GMは思案の末彼の回答をみとめました。
誠実な性格がうかがえるセリフかと思われます。
彼は続いてあとのような行動にうつります。
>「こうしないと、ずうっとここに閉じ込められたままだろう?」
そう言うと、かなしみのライオンを手にとって、
壊れた扉をあけて外に出てくるようなポーズをとらせて満足気に微笑みます。
「かなしみを抱いていても、このさきの自由を知れば、
このライオンはきっと笑って前を向いて生きていける」
特筆すべきは、彼が檻の鍵を壊したこと。
理由が何であれ、破壊行為にあたりますね。
自分の志すことを通すためであれば、
多少の力の行使もいとわない性格なのだろうか?とGMは感じました。
前述までの穏やかで優しい面と同時に、
かたくなな頑固さが見え隠れします。
また、声はこの行動に対して、
「君は、悲しみをとうに乗り越えたのかもしれないね」
と言いますが、そうであると同時に、
もしかしたらどこかで悲しみから「逃げ出したい」
と思っているのではないか、という解釈もできる気がします。
あるいは、過去そう思っていたことがあったのかもしれませんね。
そして、何もここに置きたくないという彼に、声は問いかけました。
>「じゃあ、君が手にしたいものを、先に決めてみて」
>「それを手に入れるために、必要な代償を差し出すなら、君はどれにするかな」
彼は答えます。
>「代償に……俺が欲しなければ、檻の中にどれも入れなくていいのか?」
声は、何も得られなくて良いのなら、と答えました。
「そうか、それならよかった」
何も欲しなければ、何も置き去りにしないで済む。
彼はそのことに安堵をおぼえました。
手のうちにあるものを失うことをとても嫌がるようです。
堅実さと頑固さが見えるような気がしますね。
【楽しみのライオンを青い草原へ】
>「離れてしまうから、
胸いっぱいの自由を謳歌して彼は楽しむんだろう。
俺の手から離れる事は悪いことじゃあないさ」
彼にとって何かを楽しむことは自由なこと、
またそうであるべきだと考えているようです。
非常にまじめで誠実な性格で、
「果たすべきこと」を重視する彼にとって、
楽しみを感じるときは息を抜ける時間というか、
自由を感じるときなのかもしれませんね。
彼はそれを一番に感じていた対象、
大切な人は、彼の手の届かないところへ
行ってしまったようですが・・・。
まとめるとクレールさんは、「果たすべきこと」を重んじる真面目で誠実な人。
また、自分の意思や手の中にあるものを守りとおす、堅実で頑固な人。
そんな感じかと思われます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。