Garden


秘密の箱


参加者


総評.シルフ
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枸杞様総評

「たのしみ」は見てほしい。
「かなしみ」は、よくわからないけれど胸の内に隠そう。
「よろこび」はわからない。きっと叶わない存在だ。

ヒトを虐めてるときや遊んでいる時が「たのしい」と君は言った。
見世物にされている自分を、面白そうに見つめながら。

嫌な過去や、背負っていたらしい罪を思い出すと感じるこの苦しみは
「かなしみ」なのだろうかと君は言った。その赤き瞳を伏せながら。

「よろこび」なんてわからないと君は言った。
きっと叶わないとも思っていると。
喜びに溢れる自分から目をそらすように、早口で。

そして君は「いかり」をその手に残した。
それは君にとって取り戻したいものだと悪魔に言われ、
「そうだね」と肯定した。
それは一体、なぜなのか。
わからない。それは彼にだけ手渡された秘密だから。

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自分のテリトリーの様子を把握する人、という印象を受けました。
最初<鉄の檻>に「いかり」を置いたのにもかかわらず、
「いまの自分に持っていけるものは何か」と考えた結果、
「かなしみ」を代わりに置いて「いかり」を手に持ったのは、
「いかり」が自分にふさわしいと思ったからなのでしょう。
手入れできるものは手入れする。冒頭でシーツを綺麗に直したように。
把握できないものは「わからないから別にいいよ」と簡単に手放してしまう。

あと、ある程度のアクシデントは歓迎するタイプなのでしょう。
大抵のことなら自分で対処できるという自信もあるようです。
予想通り銀の鍵で扉を解除できた際好奇心のままに扉を開けているところや、
映画館で警戒心もなしにポップコーンを食べたところからそれが伺える気がします。

そして退屈をあまり好いていません。だから面白いことになりそうなら、
かつ自分が不利益を被らないことなら、他人の声に素直に従います。
愉快なことが起きれば万々歳。快楽主義者寄りです。

「他人を虐げている時が楽しい」という発言は、まさに悪役といったところでしょうか。
「かなしみ」への回答も合わせて見るに、
自分の罪を知りながらも悪を進む人であるのかな、と思います。
きっと彼は、悦楽も罪も(もしかしたら罪悪感も)なにもかも気づいた上で背負って、
彼にとっての前へ進む人です。
見ないふりをしたとしても、本当はどこかで知っているのかもしれません。
気づいているのかもしれません。そのくらい冷静で、観察力のある賢い人です。
「よろこび」の自分から目を逸らしたのは、
それに憧れを抱いている自分に気づきそうだったからなのでしょうか。
そして同時に「手に入れられるはずがない」と思っています。
罪を背負っている存在が「喜び」を手にするなんてできるはずがない、
許されるはずがないと思っているのかしら。
あるいは、相応しくないものを求めそうになった自分を、見たくないのかも?

取り戻したいものが怒りだと言われ、
肯定したのもある種の「悪役」思考からなのかなと思いました。

まとめると、
枸杞さんは、周囲の状況もひっくるめて「自分」を把握する人。
力量だとか、状況だとか、役割だとか。
あと一歩間違えると自分の思考に縛られかねない人なのかなーと。
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