Garden


秘密の箱


参加者


GM.たなか
PL.水島新/香野 咲良
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GM:はい!ではそろそろ、「秘密の箱」を始めさせていただきたいと思います(`・ω・´)!
GM:よろしくお願いします!
咲良:よろしくお願いします!
GM:はい!では、
さくらちゃん、あなたは拠点の自室にて、部屋の掃除をしています。
すると、引き出しの中からでしょうか。見慣れない鍵を発見しました。→
GM:はて、どこで手に入れたのか、何時の間にこんなところにしまったのか。
あなたは不思議に思います。 はい、ご自由にロールをどうぞ。
咲良:鍵を手に取り、蛍光灯に翳してみたりしげしげと色んな方角から眺めます。「咲良、こんなの持ってたかなあ?」と首を捻り不思議そうです。
GM:鍵は銀製ですね。大きさは15cmほどと大きめで、少し重いようです。
咲良:暫く眺めてから引き出しを引っ張って中を覗き、他に何かおかしなものが入っていないか注視します
GM:注視ですね。
GM:……特になにもおかしなものは入っていないようです。さくらちゃんが元々入れたものだけが、入っていることでしょう。
咲良:それならば手のひらに載せた鍵を再び眺めて考え込み、鍵にも注視を行います
GM:上記の情報以外は得られそうにありませんね。
GM:咲良ちゃんは不思議に思いながらも、掃除を続けました。
咲良:「……ふむ、鍵である以上、何かの飾りでもない限りは扉なり箱なり、何かしらを開けるためのものだよなあ」と呟いて、これに対応する箱らしきものがないか部屋全体に注視を行います
GM:おっと。対応する箱らしきものも、特には見つかりそうにありませんでした。
GM:さて、その日の夜です。→
GM:咲良ちゃんは夢の中で、見知らぬ扉を発見しますね。
その扉には鍵がかかっています。→
GM:あなたの手には昼間見つけた鍵が握られています。
さて、どうしましょう。
咲良:まずは扉に注視し、それから扉の中から何か聞こえないかと聞き耳します
GM:注視と、聞き耳ですね。
GM:扉は鍵と同じく銀製のようです。咲良ちゃんが持っている鍵がピッタリ入りそうな鍵穴以外は、特にめぼしい点もないでしょう。→
GM:また、聞き耳をたててみますが、扉の向こうからは特に音もしないようです。
咲良:鍵穴を覗き込んでからゆっくりそこに鍵を差込み、がちゃりと回してみます
GM:鍵穴を覗き込んでも先は真っ暗でした。そして、鍵はすんなりと開きましたね。がちゃり。
扉を開けてみますか?
咲良:開けます。
GM:【STOP】
GM:扉の先には、真っ暗な闇が広がっていますね。
GM:くぐりますか?
咲良:くぐります。
GM:咲良ちゃんは扉をくぐりました。
しかし、一歩踏み出すと同時に、あなたの体は真っ逆さまに下へと落ちていきました。
GM:──急に呼びだしたりしてごめんね・・・君に教えてほしいことがあるんだ──
そんな声が、聞こえたような気がしました。
GM:・・・・・・
GM:・・・・
GM:・・
GM:・
GM:【Inside Heart】
GM:あなたが目を覚ますと、
ふかふかの椅子に座っており、膝にはポップコーンがあります。→
GM:注視するまでもなく、咲良ちゃんは気づくでしょう。
周囲を見渡すと、同じような椅子がずらっと並んでおり、
目の前には大きな映画のスクリーンがあります。
・・・どうやらここは、映画館のようですね。
咲良:膝の上のポップコーンに視線を落とし、ぽいっとそれを口の中に二、三個放り込みます。
GM:咲良ちゃんがポップコーンを頬張ると、スクリーンの幕が上がり、映像が映し出されました。→
GM:映し出されたのは、
サーカスの舞台で活躍するライオン。
ライオンは人気者でした。
観客からの歓声を一身に浴び、彼は輝いていました。→
GM:しかし、ある日ライオンはえさを与えられず、
お腹がすいて、ひどく気が立っていました。
その日のショーで、
ライオンは人を噛んでしまい、檻に入れられてしまいます。→
GM:檻の中でぐったりしていると、支配人がやってきます。
いわく、3日後には自分は銃で殺されてしまうのだと、
ライオンは知りました。→
GM:ライオンは夢を見ます。
草原を自由に駆けている自分の夢です。

・・・そんな物語が、スクリーンには映し出されました。→
GM:あなたは、この映像を見て、どんな気持ちを抱きましたか?
ご自由にロールをお願いします。
咲良:特に何の感慨を抱くこともなく淡々とそれを見て、(この子にとって死は理不尽なものであるのだな)(殺して貰えるなんて咲良にとっては有難い以外の何物でもないというのに)とぼんやり考えています。
GM:ちなみにこのライオンの姿は、このあと次第に咲良ちゃんの姿に変わっていきます。(言い忘れてた)
GM:追加でロールしたいことがあれば、どうぞ
咲良:変わっていく姿を見て一瞬呆然とし、高らかに笑いかけて映画館なので声を殺しますね。気分が高揚するようです。
GM:さて、画面は暗くなり、あなたの周りも真っ暗になります。→
GM:気づくとあなたは、四角い白い部屋に取り残されていました。
咲良:きょろきょろ周囲を見渡して、「……随分と忙しなくシーンが変わるものだね
咲良:と目を瞬いています
GM:咲良ちゃんの目の前には、ライオンのぬいぐるみが4つあります。→
GM:それぞれ、「よろこび」「いかり」
「かなしみ」「たのしみ」と札が首に下がっていますね。→
GM:あなたがそれを確認すると、部屋の中に声が響きます。→
GM:「その子たちを、君が正しいと思うところに置いてあげて。
 君が思うまま、君の気持ちにだけ正直に答えてね。
 
 ・・・そして、きみがどうしても
 自分の手に残したい気持ちだけ、持っておいで」

GM:「ちゃんと置いてあげられたら、道を教えてあげる」
それだけ言うと声は途切れてしまいますが、
目の前に、サーカスの舞台、鉄の檻、青い草原のセットがあらわれます。
GM:3つのセットに好きなぬいぐるみを置いて、ひとつだけは持っておいで。ってことだね!
咲良:突然聞こえた声に驚いて「だあれ?」と訊き、再び部屋の中を見渡します。
GM:「君のことを知りたいだけの存在だよ」と落ち着いた声で答えます。
部屋の中を見渡しても、特に声の主らしき姿は見えないでしょう。
咲良:「咲良のことを、知りたい存在?それは随分と意味深な答えだねえ、好奇心をくすぐられる」くすくす笑いながらライオンのぬいぐるみに視線を移し、まず「いかり」の子をそっと持ち上げます。
咲良:迷うことなく鉄の檻にその子を入れて、次に「かなしみ」を少しだけ迷ってからサーカスの舞台へ、「よろこび」を草原へ置きます。
咲良:そして最後に残った「たのしみ」の子を抱き上げると嬉しそうに頬擦りし、「咲良が大切なのはこの子だよ。咲良が重要なのは楽しみなの」と答えます。
GM:咲良ちゃんが鉄の檻に「いかり」のライオンを入れたとき、またしても声が響きました。→
GM:「君はその子が、檻に入ることを望む?
 そこから一生出てこれなくて、一人きりになってもいい?」
GM:「君は<いかり>の人形を、そこに置いていくかい?
 それでよければ、その人形はそこに置いてお行き。
 
 ・・・違うのなら、ほかの人形を持っておいで」
GM:→
GM:サーカスの舞台にぬいぐるみを置いた時も声が響きます。
「君はその子が、舞台に立つことを望む?
 大勢の前で指をさされたり、笑い物になってもいい?」

GM:草原に「よろこび」のぬいぐるみを置いたときには、
「君はその子が、自由になるのを望む?
 君の手を離れていってしまっても、いい?」
と。→
GM:「君は人形たちを、そこに置いていくんだね?
 本当にそれでよければ、その人形はそこに置いてお行き。
 
 ・・・違うのなら、ほかの人形を持っておいで」
咲良:「勿論、咲良は誰かの自由を奪うことも、誰かが嘲笑の的になることも望まない。けれどどの子をどこに置いたとしても、君は全く同じことを問うのではないのかい?」と穏やかに微笑んで抱えているぬいぐるみの頭を撫で、「但し……そうだね。いかりとかなしみの場所を入れ替えることにしようかな。今聞いたことを参考にすると、咲良はそちらの方がどうもしっくりくるらしい」といかりとかなしみの場所を入れ替えます。
咲良:「でも連れて行くのはこの子だよ。それは変わらない。この子たちを、咲良はこの場に、置き去りにする」と呟きます。
GM:ふむ。では、
GM:サーカスの舞台に<いかり>
鉄の檻に<かなしみ>
青い草原に<よろこび>
持っていくのは<たのしみ>
であってますかな?
咲良:はい、合ってます。
GM:りょうかいです。
GM:全ての人形を置き終わった咲良ちゃんの前に、扉が現れます。→
GM:「・・・この答えに迷いはないかい?
 あるいは、迷いを持ったまま進むのもいいだろう。
 準備ができたら、そこをくぐっておいで」

GM:さて、咲良ちゃん。
おいた人形について、何か思いがあるのであれば、ここでロールをお願いします。
なければ、そのまま扉をくぐってください。
咲良:振り向いて人形たちに小さく手を振って「ばいばい」と笑いかけ、そのまま迷うことなく扉をくぐっていきます。
GM:ありがとうございます。
GM:さて、扉をくぐると、暗闇が続いています。→
GM:一つ目をぎょろりとさせたコウモリが、
道の先を案内するように飛んで行きますね。
咲良:「一つ目蝙蝠……何かおどろおどろしいねえ」と言いながらのんびりその後をついていきます。
GM:コウモリのあとを付いていくと、
暗闇の中にぼんやりと、サーカスの舞台に立つ咲良ちゃんがが見えてきます。→
GM:「きみがあそこに置いたのは、ほかの人にもっと
 "見てほしい" "知ってほしい"と思っている気持ちだよ。
 君はを<いかり>をそこに置いたね」

GM:「舞台に立っている君は、
 <いかり>をあらわにして、観客を睨みつけているね。
 はらだたしい、にくましい、おさえきれない怒りの気持ち。
 君はどうしてもこの気持ちを、見ている人に知ってほしいみたいだ。
 観客の人たちは、君のその姿を見て、
 君の怒りを知り、君を恐れた人もいただろうね」
GM:「・・・教えてほしいな、
君はどんな時に<いかり>を感じるかな?」
咲良:「咲良が怒るとき、か。そうだね、……どんなときだったかな。最後に怒ったのは随分と前だった気がする。…………でもきっとくだらないことに違いないだろう。お菓子を食べられちゃったとか、きっとそんなこと」小さく笑い、舞台に立つ自分を見つめています。
GM:「……そう。君は、純粋な子なのだろうね。
 ……じゃあ、次だよ」
GM:続いて、檻の中にはいっているあなたの姿が見えてきます。→
GM:「きみがあそこに置いたのは、
 "隠しておきたい"、あるいは"感じることに罪悪感のある気持ち"だよ。
 君は<かなしみ>をそこに置いたね」

GM:「檻に入れられた君は<かなしみ>に震えている。
 閉じ込められている理由はわかっているし、理解もしている。
 けれど、この悲しみは消えることはない。
 君の涙はもうとっくに枯れてしまったね。
 周りの人も君に同情はしているが、
 なすすべがないのだろう、みな近寄ろうとしなかった。
 君の<かなしみ>はそうやって隠されているみたいだね」
GM:「・・・教えてほしいな、
      君はどんな時に<かなしみ>を感じるかな?」
咲良:「えー、難しい質問をするなあ君は」ぎゅっとぬいぐるみを抱く腕に力を込めて軽く視線を上に持っていき、少し考え込んでから「…………憶えてないな。でもきっと咲良は悲しみというものに鈍感だっただろうと思うよ。悲しいなんて、本当に感じたことがあるのかさえ甚だ疑問だと思えるね」とゆっくり答えます。
GM:「……そう。もしかしたらそれも、ある意味での君の<かなしみ>の形なのだろうね。
 ……じゃあ、次だ」
GM:続いて見えてくるのは、青い草原を駆けるあなたの姿。→
GM:「きみがあそこに置いたのは、
"君にとって叶わない願い"だ。
 君は<よろこび>をそこに置いたね」

GM:「青い草原の君は、走り、飛びまわり、
 <よろこび>を体いっぱいに表している。
 君は、そんな自分の姿に、あこがれ、胸を焦がしているんだ。
 同時に、この気持ちを、心のどこかで
 叶わない願いだと感じているようだね。
 このよろこびを感じることができたら。
 それを知ることができたら。
 
 君はその<よろこび>を、
 いつか手にできることを夢に見ているんだよ」
GM:「・・・教えてほしいな、
      君はどんな時に<よろこび>を感じるかな?」
咲良:「喜びを感じるとき、など、それはもうたくさんあるよ。美味しいものをたらふく食べたときとか、ぐっすりと寝てすっきり爽快に目覚めたとき、死ぬことを想像するとき、またはそれを実行に移すとき。日向ぼっこもそうだね。多くありすぎて全て挙げることなど出来ないくらい」
GM:「……そう。君の<よろこび>は多種多様のようだね。
 いつか君が、その中でも最上のものと出会えることを祈っているよ」

GM:「さあ、最後だよ」
GM:「君が最後に手にした、
 その<たのしみ>は、君の"取り戻したいもの"だ」
GM:「……おれは、心を食らう悪魔。君の心のことを知りたかったんだ。
 教えてくれてありがとう。
 ……お礼に、おれから手渡すものがある」
GM:あなたの目の前には小さな箱があらわれます。
鍵をかける穴がついていますね。→
GM:「その箱に人形を入れて、君が持っているはずの鍵で、
 その箱の鍵をしめてくれ。銀色の鍵だよ」
GM:あなたの手には、ここに来るときの扉で使った鍵が握られています。
咲良:「鍵とは、これのことでいいのかな?」と訊きながらさっさと箱の鍵穴に鍵を挿し込み施錠します。
GM:「それは、"秘密の箱"。
 どうして君が<たのしみ>をのこしたかは、答えなくていい。
 
  ──君にだけ、その秘密は明け渡される」

GM:箱に鍵をかけると、カチャリ、という音とともに、
空間に割れ目が走り、ぼろぼろと崩れていきます。
闇への中へ、落ちていく感覚。
そして再び目を覚ませば、そこはいつもの、拠点のベットの上。
不思議な夢を見た気がする。→
GM:……けれど、そこでの出来事はすべて忘れてしまった。
代わりに、<たのしみ>の記憶だけ、あなたの頭には残っていた……
GM:はい!お疲れ様です!
GM:シナリオクリアです!!
咲良:わあい、お疲れ様でしたー!!ありがとうございました!
GM:【待機】
GM:ではクリア報酬についてのお知らせです!
咲良:はいっ
GM:咲良ちゃんは今回のセッションクリア報酬として、「スキルポイント50pt」と、
「自身の<たのしみ>に関する記憶を手に入れました。
GM:あとでサイトのBBSにスレを立てておきますので、そちらに報告をお願いします!
咲良:了解しました!
GM:【STOP】
GM:ハイ、ではあらためて、お疲れ様でしたっ!
咲良:お疲れ様でしたっ!本当にありがとうございましたー、楽しかったです!


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私は、
「香野咲良は《受動的》で《自分本位》で《純粋》な子」
であると評します。


貴方が見て欲しいのは「いかり」
貴方が閉じ込めておきたいのは「かなしみ」
貴方が憧れるのは「よろこび」
貴方が取り戻したいものは「たのしみ」


彼女は4つのぬいぐるみと3つのセットを見て、
「自分がセットの中に置かれた時に、4つの内どの感情を抱くのか」
という観点でぬいぐるみを配置していきました。

最初に彼女は、鉄の檻へ迷うことなく「いかり」を閉じ込めました。
こんなところに閉じ込められて、自由を奪われるのは我慢ならないから。

次に彼女は、少し迷いながらもサーカスの舞台へ「かなしみ」を晒しました。
こんなところに引きずり出されて、人の目に晒されるのは嫌だから。

最後に彼女は、残った「よろこび」を青い草原へ解き放ちました。
自由であることこそ、何より喜ばしいことだから。

そうして、手元に残った「たのしみ」に頬を摺り寄せて、
愛おしげに彼女は言いました。
「咲良が大切なのはこの子だよ。咲良が重要なのは楽しみなの」


何人かのログを拝見しましたが、
「自分がこのセットにいたら、きっとこの感情を抱くだろう」
という解釈をした子は初めてでした。

大体の子は、「この感情を置くのであれば、このセットがいい」
と解釈しているように見受けられますので。

咲良ちゃんはどこまでも受動的なのでしょうね。
それから自分本位なところもあるでしょう。
裏方に引っ込んでいたいのでしょうか。

「自由を奪われるのは我慢ならないから」
「引きずり出されて、人の目に晒されるのは嫌だから」
という理由も、その節を感じさせます。

けれど、声が彼女にささやきました。

「君は<かなしみ>が、舞台に立つことを望む?
 大勢の前で指をさされたり、笑い物になってもいい?」
「君は<いかり>が、檻に入ることを望む?
 そこから一生出てこれなくて、一人きりになってもいい?」

この時初めて、この質問に対して能動的な考えを抱いたのではないでしょうか。
ここに立たされた自分が人前に晒され、「かなしい」と感情抱くわけではなく、
ここに立たせた自分の「かなしい」が、人前に晒されるのだと考えたとき。

咲良ちゃんはそれを嫌悪しました。
それなら、「いかり」が晒される方がまだ良い、と。

人前に晒される物に対して考えを巡らせるのは
「本当の自分」を見せたくないからなのでしょうか。
それとも、これこそが自分であると主張したいからでしょうか。
私は後者であると感じました。

咲良ちゃんはその言葉遣いと態度と振る舞いと、
幼いながらに覚えた「お化粧」で
綺麗に自分を隠したいのではないでしょうか。


「きみはどんなときにその感情を感じるかな?」

貴方には記憶がまだ足りませんから、
この質問たちに答えるのは大変だったでしょう。

それでも、出来るだけ具体的な例をあげて
答えようとしてくれた姿勢に、とても好感が持てました。

純粋な子なのだろうね。という言葉はGMの本音です。


どんなときに<いかり>を感じるか聞いたとき
咲良ちゃんは小さく笑い、舞台で怒り狂う自分とは到底不釣合いな
可愛らしい<いかり>を挙げてくれました。

――いいえ、あなたの怒りはそんなものでは無いはずです。
あの舞台で怒り狂う自分に釣り合うだけの
<いかり>を感じることができたはずです。
記憶が無いのですから、まだ分からないでしょうが。

どんなときに<かなしみ>を感じるか聞いたとき
咲良ちゃんはぬいぐるみを強く抱きしめ、視線を上に持って行きました。
そして「覚えていない」と、「鈍感であった」と答えてくれました。

――とても真摯に質問に向き合ってくれたのでしょう。
少ない記憶の中から回答を見つけ出すのは億劫でしょうに、
曖昧ではあるものの、しっかりと答えを返してくれました。
ざわついた心は、抱きしめた<たのしみ>が癒してくれましたか?

どんなときに<よろこび>を感じるか聞いたとき
咲良ちゃんは即座に答えてくれました。
叶わない願いだと言われ、少し不服だったのでしょうね。
たくさんの<よろこび>を教えてくれました。

――分かっては居るのか居ないのか、それは私にもわかりません。
なのでもう一度この言葉を贈ります。
「いつか君が、その中でも最上のものと出会えることを祈っているよ」

手元に残した<たのしみ>は
咲良ちゃんが取り戻したいと願っているものですね。

私はあなたのもとに<いかり>や<かなしみ>の記憶よりも先に
<たのしみ>が戻って行ってしまっていいのか、と思いました。

もしかしたら、もう少し後にこのセッションにお誘いすべきだったのかもしれません。

しかし、あなたの手元に戻ってきたその<たのしみ>の記憶を
どうか大切にしてあげてください。

あなたが今後のセッションでどんなに辛いことを思い出したとしても
最後にたどり着くところが<たのしみ>であり
そして最上の<よろこび>を手にすることができるだろうと

咲良ちゃんなら出来るだろうと、期待しております。


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