獣パロ(ごったけ)R-15 | ナノ

華穂様に捧げます




杉の木の根元に掘った穴の中で、子犬の八左ヱ門が身を蝕む熱にキュンキュン鳴き声を上げていた。


どうやら彼は初めての発情期らしく、初めての感覚に戸惑い泣きじゃくって居たのだ。

本来ならばこういう教育は、八左ヱ門の両親がそれとなく伝えるのだろうが…
生憎彼の両親は、彼が幼い時に猟師に撃たれてしまい…
余計八左ヱ門は発情期という言葉を知らずに、目出度く発情を向かえたのである。



肥大した逸物と玉が痛くて熱いのだろう。
しきりに痛い痛いと泣く八左ヱ門の声を聞きながら、子狸の勘右衛門と子猫の兵助、子狐の雷蔵と同じく子狐の三郎は目の前の親友達を静かに睨んで居た。


「はちは俺が気持ち良くしたげるのだ!」
「だから、八左ヱ門は初めての発情期なんだよ?優しくしてあげないと!」
「だから舌先が器用な私が!」
「ダメダメ!三郎は直ぐ苛めちゃうんだから!」


両者一歩も譲らぬこの静かなる戦いは、どうやら誰が八左ヱ門の初めてを頂くかの戦いらしい。
その間にもキュンキュン鳴き声と荒い息遣いは大きくなって…

きっと尻尾が後ろ脚に当たる度に、股間に熱が溜まり
土に身体を擦り付けようとも、むず痒い所は身体の内側なのだから、それだけでは足りないのだろう。



大きくなる悲痛な泣き声に、思わず勘右衛門と兵助が八左ヱ門に前脚を伸ばした。
熱い息を浅く吐く八左ヱ門は、彼等の前脚が身体に触れる度にヒャンッなんて甲高い声を上げて身を捩る。

それは痛みで上げる声、というより何となく甘ったるい艶やかな声で……



「へーすけっ!駄目っ!待て!おすわりっ!!」



八左ヱ門の色香に当てられたのだろう。
ピンと尖った耳に鼻を擦り付けていた兵助は、ガブリと八左ヱ門の首筋に噛み付き
八左ヱ門の下半身に己の下半身を重ねようとしていたのである。

勿論これを見逃す者は居らず…あえなく兵助は八左ヱ門から引き離されてしまった。


抜け駆けは狡い。
そう三匹に睨まれ、兵助はうなだれる。



「でも早く決めないと、辛いのは八左ヱ門だ」
「兵助は抜け駆けしたからペナルティーだな」
「う…うう…」
「あれ?そう言えば肝心の八は…」


さっきまで痛いと泣いていた子が、ぼんやりと四匹を見詰めていた。
その目は熱が溜まり、水飴みたく柔らかそうにとろけているではないか……


覚束無い足取りで近寄る子を、誰より先に受け止めたのは三郎で
出遅れた事による悔しさから唸る友人達を、三郎は優越感に浸ったような顔で見渡した。



さぶろ…と舌っ足らずに名を呟く八左ヱ門に、今から気持ち良くして上げるからななんて偉そうに三郎は呟いた。……が……



熱い息を吐く八左ヱ門は、何故か三郎の背後に回ると…
犬の癖して猫のように三郎の首筋に噛みついたのである。

「へっ!?え!?いや!?」

これはどう見たって猫の交尾の格好だ。きっと八左ヱ門は兵助から学んだのだろう。
…しかし、三郎からしてみたらポジションが違う。

すりすりと擦り付ける熱い八左ヱ門の下半身を感じる度、三郎は助けを求める視線を友人達に投げかけたのだが

勘右衛門も雷蔵も兵助も、八左ヱ門の突拍子の無い…いや、本能通りの行動に目をまん丸と見開くだけで…
誰一人として三郎の操の喪失を、救ってはくれなかったのである…………

















…因みに
一通り三郎との交尾が終わった後、犬としての正しい交尾の仕方を八左ヱ門は
雷蔵と勘右衛門と兵助の三匹から、丁寧に丁重に優しくかつ激しく、ちゃんと教えて貰ったらしい……
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