俺の自慢の親友を紹介します。
俺の親友はとりあえずモテる、これでもかという位モテる。イケメンだし背高いし運動部で期待のエースだし成績も良い方でこれでモテない方が逆にすごいってくらいモテる。そんな親友に俺はかれこれ4年は恋をしているのだ。
「おはよう我が親友!」
「ん、おはよ」
下駄箱で姿見かけて挨拶すれば、柔らかい微笑みを浮かべながら挨拶を返してくれる。
聞いた?!
おはよ、の言い方聞いた?!笑みだけじゃなくて言い方まで柔らかいとかもう本当…好き!
「そういえば宿題やってきたか?」
「え?」
「お前今日当たる日じゃなかった?数学」
「…あ!え、嘘やってないヤバい!」
「はは、やっぱり。また違う事考えてて忘れたんだ」
当たってるけど!
家帰って即親友のこと思い返してニヤニヤしてたら宿題の存在忘れたけど!
「なんでメールしてくれないの!?」
「メールがよかったの?」
「電話がいい!!」
「ふふ、メールか電話しようかなって思ったけどお前とそういうやり取りしてると楽しくて俺も宿題手つけれなくなる気がしたから止めたんだよね」
ごめん、やっぱりするべきだったね って申し訳なさそうに謝られたけど待って!今サラッとすっごい嬉しいこと言われたんだけど!!
うわあああ、やだ俺の親友本当エンジェル…!でも今日俺当たる日なんだよ親友!!
「え、あ、どうしよ…ね、写さして…!」
「だーめ、出来る所までは自分でやって」
「ケチ!」
「数学は4限目なんだから時間あるだろ、頑張れ」
「うん!頑張る!!」
頑張れって言われただけで頑張ろうって気持ちになる俺本当単純…。
素直でよろしいって親友に言われながら頭を撫でられてこんな朝から幸せでいいんだろうか!死ぬ!死んでしまう!もっと撫でて!そう言えば「宿題やったらね」と返されたわけで、俺は親友にまた頭を撫でてもらうために宿題に取り組むことを今決めたのだ。
本当は休み時間も親友と喋りたいんだけれど、ここは頭を撫でてもらう為だ!我慢しなくては!!
「待ってろー!」
「あはは、朝から元気だね」
一限・二限・三限目を終え、今四限目前の十分休憩の中俺は宿題と向き合っていた。お…終わらない…どうしよう、甘く見てた…寄りによって俺が苦手としてる範囲がいっぱい…なにこれもう途中式すら合ってるのかわかんない……チラッと隣の席の様子を窺えば、この前の席替えで隣になった親友がいて、その周りには親友と楽しそうにお喋りをしているクラスメイト、い…いいなぁ、俺も親友とお喋りしたい…うぅ。
心でメソメソ泣きながらそんなことを考えていたら四限目の開始のチャイムが残酷にも鳴り響いた…終わった……。
「はぁ…」
小さくため息を付く、宿題の答え合わせで俺の番はまだ来てないけど…とりあえず俺が当たる宿題の問題はまだ手をつけていないことは確かなわけで、しかもその問題は苦手としてる範囲なわけで……駄目だ、詰んだ…。
モワンモワン考えている間に俺の前の出席番号の子の答え合わせが丁度終わった所だった、腹を…括ろう。
「次は〜、遠山!」
「は、はい…」
席を立とうと椅子を引いた時、隣から手が伸びきて俺の手の甲をチョンチョンとつつく、何事かと思い目を向ければ手を伸ばし俺の手の甲をつついた人物、親友が俺を見ていた。
目が合うと親友は声は出さず口のみ動かし始めた。
『出来なかったんだろ?』
『俺のノート見ていいよ』
『内緒な、あと…』
『よく頑張りました』
そう口パクで伝えた親友はにっこりと小さく微笑みながら口元に右手の人差し指を添えてシーッというジェスチャーをしていた。
「…〜ッ、大好き!!!!」
「なにがだ、遠山」
「数学がです!!」
「そうか〜」
もう感情が高ぶり勢い余って大声でそう叫んでおりました。
隣で親友はクスクスと笑っていたけれど、俺の机にひっそりと渡された親友の数学のノートを見て、もう嬉しすぎて幸せすぎて改めて俺は親友が大好きなんだと痛感したんだ。
俺が恋をしているのは、イケメンで背が高くて運動部で期待のエースで成績も良くて、とっても包容力がある世界で一番自慢の親友なのです。
遠山くんと親友の話。
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